ちいきのたより

Vol.90  瓦と漆喰と美人の町へ 
大分県大分市 木楽舎 あんどう住宅設計室

大分市郊外の山の麓に建つモデルハウス・青RINGO木上にも、少し遅めの春がやって来ました。
敷地内に植わる桜がようやく満開を迎えています。
さて、久しぶりにまとまった時間が取れたので、大分県屈指の城下町・杵築きつきへ出かけることにしました。

杵築は別府湾をはさみ大分市の対岸、国東半島の根本に位置しています。
1394年築城の杵築城を中心に、高台には武家屋敷、低い土地には商人の家が広がっていました。
杵築の町散策マップ杵築の町を散策して気づくのは、坂の多さです。

石畳の坂道 勘定場の坂

酢屋の坂

酢屋の坂

わずか2時間ばかりの散策で、9つもの坂を上り下りしました。
明日からお休みいただこうかしら。

しかし、その坂のおかげで町並みを立体的に眺めることができました。

坂の街並み

ご覧のように、杵築城下町は切妻、もしくは寄棟の和瓦が圧倒的に多い地域です。
これは市が策定した景観計画に基づいて町並みが保全されているからです。
杵築市市役所庁舎市役所庁舎もこのようなデザインとなっています。
道路や標識が漆喰・瓦・木・石でできている道路舗装や標識などを除いて、目に飛び込んでくるのはほとんど漆喰・瓦・木・石といった素地感の強いものばかり。
苔むした石垣に咲く桜茅葺き屋根自然由来のものにホコリや泥がついても、それは「汚れ」ではなく「風合い」となるから不思議なものです。
堀部安嗣さんの言葉を借りて、「風雪に耐えたもの」が醸し出す美しさです。
一文字葺きこんなに間近で一文字葺きを眺められるなんて・・・眼福。
瓦屋根の教会瓦と漆喰と十字架という歴史の生き証人のような組み合わせも。
城下町に馴染みにくい自動販売機カムフラージュしていても、ひときわ存在感を放つ自動販売機・・・
それだけここは人造物が風景に馴染まない場所だということです。
海にはりだした杵築城展望台からの眺め。
左奥に見えるのが杵築城(模擬天守)です。

東屋とたんぽぽ

その一角にはタンポポが。
残念ながら、すべてセイヨウタンポポ(繁殖力の強い外来種)でした。
臨時休業案内昨今の新型コロナウイルス対策のため、ほとんどの施設が休業を迫られる中・・・
街をお掃除する人々通りを丁寧に掃除する人々の姿がありました。
異邦人の私に額の汗を拭いながらの「こんにちは~」。
そういえば、この町の人々はよくあいさつをしてくれる気がします。
瓦屋根この地域に暮らす人々が手を入れながら大切に守ることで、情感にあふれた町並みが保たれていることを実感します。

草刈り中の木楽舎モデルハウス青RINGO木上

私も町並みを守るという意識で、モデルハウスの草刈りを頑張ります(笑)

さて、坂の上り下りでくたびれた後は本日のメーンイベント(?)、中野酒造さんへ。
中野酒造

知恵美人の中野酒造は杵築市指定有形文化財

明治7年創業の中野酒造さんは、銘酒「智恵美人」の酒蔵として有名です。

コロナの影響で団体客のキャンセルが相次いだため、店内は少し寂しい感じでしたが、地元のお米を丁寧に用いたバリエーション豊かなお酒が並んでいます。

そして、今回せしめたのはこの3酒。
純米大吟醸知恵美人とイモリ谷「イモリ谷」
安心院町(大分県宇佐市)の米と山田錦をブレンドしてできた純米酒。

「ちえびじん純米吟醸」
山田錦を用いた、精米歩合55%の吟醸酒。ワイングラスで飲むのがおススメらしいです。

「純米大吟醸・智恵美人」※両親用(←ここ大事!)
山香町(大分県杵築市)の米を用いた、精米歩合35%の大吟醸。

歩き疲れたこの体には手強すぎる布陣です。
が、飲み切ってみせます!!(?)

安東洋輔
ちいきの記者
安東洋輔あんどう・ようすけ
大分市で生まれ育った34歳(2018年11月現在)の半端者。2013年に高校教師を辞め、父が営む工務店に入社しました。設計・営業・企画広報などドタバタと仕事をしながら、少しでも幸せをバラまけるように悩み多き日々を送っています。動物が好きで猫アレルギーも根性で治しました。趣味は器収集とギター。代金は負担するのでCD買ってください。

 

木楽舎 あんどう住宅設計室
(株)木楽舎 あんどう住宅設計室きらくしゃ あんどうじゅうたくせっけいしつ
大分県大分市椎迫1組の2
TEL:097-544-4554
URL:https://www.kiraku-no-ie.jp
大分県大分市を中心に木の住まいを造る工務店です。「新しいけど、懐かしい」をテーマに流行に流されない住まいづくりを心がけています。お施主さん・工務店・職人さんの信頼関係を最も大切にしながら、パッシブデザインで陽と光と風にあふれる、エアコンに頼らない暮らしを目指します。

ちいきのびお参加工務店さん全国図

ちいきのびお