色、いろいろの七十二候

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腐草為蛍・雨、紫陽花、蝸牛

あじさいとカタツムリ
こよみの色

二十四節気

ぼうしゅ

芒種
桑色くわいろ #B79B5B

桑の木から染まる草木染めの色。紫の実とは全く異なる染め色に桑色白茶の名も。

七十二候

くされたるくさほたるとなる

腐草為蛍
菖蒲色しょうぶいろ#674196

菖蒲しょうぶの花のような、鮮やかな青みのある紫のこと。また、同じ漢字を「あやめいろ」と読んだときは別の色で赤みがかった紫色のこと。

各地で梅雨入りが報じられています。ジメジメした季節がやってきました。
旧暦5月ごろの梅雨の雨は、「五月雨(さみだれ)」と呼ばれ、しとしとと降り続きます。

雨に悩まされることも多い時期ですが、多くの生きものにとっては恵みの雨。
紫陽花やカタツムリは、梅雨時の代表選手ともいえるほど、雨の情景によく登場します。

陸生の巻貝であるカタツムリは、エラ呼吸ではなく肺呼吸をしています。ですから水中ではなく空気中で生きられますが、そこはやっぱり貝ですから、乾燥は苦手です。
乾燥する時季は、体を殻に引っ込めて、膜を張ってじっとして、恵みの雨を待っています。

足元へいつ来りしよ蝸牛  
小林一茶

雨上がりなどは、いつのまにこんなところに、というところで見かけたりもします。

さて、このカタツムリ、雌雄同体であることが知られています。
雌雄同体にも大きく2つあって、雌から雄へ、あるいは雄から雌へと性別が変わるタイプは異時的雌雄同体といいます。
もう一つは同時的雌雄同体といって、雄雌の切り替えなく、同時にどちらの性としても機能します。カタツムリは、こちらのタイプです。

そういうわけで、カタツムリの生殖活動は、雄でもあり雌でもあります。雄雌どちらかの役割が担える、という程度のものではありません。
精子と卵子のどちらも持ち、「行為」では、双方が生殖管を挿し入れ、射精もし、受精もするというのですから、人の常識では測れません。
しかも、自家受精も可能ですから、一匹だけでも増えることが出来るのです。

これでは、少子化に悩む、なんていうことはなさそうですね。
ところが、カタツムリには別の問題があります。あのゆっくりした歩みですから、カタツムリの行動範囲には限りがあります。このため、狭い範囲での種分化が起こります。いわゆる多様化ですが、その裏返しか、各地域固有のカタツムリの中には、絶滅危惧種に指定されているものもあります。

さきごろ、多くの市町村で出産適齢期の女性がほとんどいなくなり、その結果、自治体の半分は消滅の危機にある、ということが報じられ、話題になりました。

2013年の出生率は改善しましたが、人口の自然減は増え続けています。遠くないうちに人口1億人は割り込むだろう、といわれていて、その影響はいろいろなところに出てきます。

少子化問題は、とかく雇用・経済の問題として語られます。たしかに安心できる子育て環境がなければ、子どもを産もう、そだてよう、という気持ちになりにくいことは無理もありません。子どもどころか、自分自身の生活も精一杯である、という声も聞こえています。

谷崎潤一郎は、「恋愛及び色情」のなかで、西洋人に比べて日本人の性欲が弱いのは、日本の湿気の強さ故、と語っています(昭和初期の世界観と谷崎自身の男女観は、今読むと、おいおい、というような展開もあるのですが)。
日本人のセックス回数は世界一少ない、などとよく言われます。もちろん回数=出生率、ではありませんし、本当のところはどうなのかわかりません。
けれど、果たして湿度がコントロールされ、快適な室内環境が得られるようになったとしたら…。

まあ、そんな単純な話なわけがありませんが、なんでもかんでも経済のせい、というのも面白くないではありませんか。

めずらしく、なまめかしい話になってしまいました。
次回も、切り口を変えての、雨にまつわるテーマです。お楽しみに!

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2014年06月06日の過去記事より再掲載)