森里海の色
木版画が彩る世界「オミナエシ」

秋の七草のひとつ「オミナエシ」は、色の名前にもなっています。


 
色は印刷では4色、PCやスマホの画面では主に3色を混ぜて作る。webの画面の場合は#F2F2B0などの表記で表す。
このF2F2B0というのは、女郎花(オミナエシ)として紹介されていたものだ。

実際にこの色を指定してみると、こうなる。

↑ここに、その色で指定して文字を書いてみたが、白地に女郎花色だと、視認性が悪い。

このF2F2B0なる記号のようなものは、左から2桁ずつが、赤・青・緑の光の三原色の量をしめしている。それぞれ16進数で、00〜FFの256段階だから、3色掛け合わせると1677万7216色が表現できることになっている。
じゃあこれをちょっと変えてF2F2B2にしてみたところで、横に並べてもほとんど区別はつかない。

さらにいえば、PCやスマートフォンのモニタのほとんどは、色調整がいい加減(というかやっていない)ので、見る環境ごとに、みんな色が違うといってもいいだろう。最近ではブルーライトカット機能などで、夜になると黄色がかってしまうこともある。

あなたが見ているこのオミナエシの色と、僕が見ているオミナエシの色は、デジタル上は同じデータなのに、おそらく違う色で見えている。これは、一見すると、クリエイターにとっては不本意なことだが、自然光の下で見る植物などは、それこそ厳密に言えば、太陽光の波長の変化で、一瞬たりとも同じ色をしていないだろう。もっといえば、個々の視細胞の違いで、どう受容しているのかは、個人個人によって違う。

ようするに、僕の女郎花色と貴方の女郎花色は、どこかで必ず違う色になっている。絶対的に表現されたように見えるものも、たいていは相対的になっているってことだ。
もちろん、これは色に限ったことではない。

文/佐塚昌則