色、いろいろの七十二候
第126回
大寒の色


画/柴田美佳
大寒
1/20 ~ 2/2
最も寒い頃という意味。酒、味噌など寒気を利用した食物を仕込むのに適した時期にもあたり、「大寒仕込み」というネーミングで商品が売られたりもします。
こよみの色
うめねずみいろ
梅鼠色
赤みがかった薄い鼠色。鼠色は江戸初期、火事や火葬を連想する灰色を嫌い生まれた。奢侈(しゃし)禁止令※によって染色の色が茶色系統、鼠色系統、紺色系統などに制限されたなかで、微妙な色の違いを生み出し、当時の人々はそれを着物にして楽しんだそうです。梅の特産地「豊後」にちなみ『豊後鼠』といわれることもあります。
※奢侈禁止令(しゃしきんしれい)または奢侈禁止法という。贅沢(奢侈)を禁止して倹約を推奨・強制するための法令および命令の一群。
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款冬華
1/20 ~ 1/24
厳寒の中に「蕗の薹」がそっと顔を出し始めました。土手の上や藪陰などに、萌黄浅緑色の花穂が土中からもたげます。食用としても栽培されていますが、元来野生の植物で、日本が原産。野生のものは香りの強さ、苦味が楽しめます。こよみの色
藍
色植物である藍に由来する色素を由緒とする色である。 日本の伝統的な色としては、藍のみで染めた色ではなく、藍に少量の黄の染料を加え、緑がからせたものを指す。 藍のみで染めた色の伝統的な呼び名は、縹(はなだ)ともいう。
季節の一皿
花びら餅とお抹茶 -
水沢腹堅
1/25 ~ 1/29
<大寒>の真ん中、沢を流れる水も寒さに凍る候。川が凍るとは、外気温と、川の高低差による運動と、川の水が持つ比熱と潜熱などの熱エネルギー間の転換効率によります。「氷瀑」という季語があるように条件次第で滝すら凍ります。こよみの色
熨斗目
色織物の小袖のひとつである熨斗目(のしめ)※2に用いられたやや灰みの濃い鈍い青色。熨斗目の地染めが藍染であったので、熨斗目色は藍色の系統に分類されました。また江戸時代に士分以上の者の礼服として、縞や格子を織り出したものを熨斗目模様と呼ばれました。市川團十郎の役者色である舛花色(ますはないろ)は、この色から派生したと言われています。※2:模様が着物全体に絵のように描かれている着物を、絵羽模様と呼び、絵羽模様の一つに熨斗目柄があります。着物の裾に模様が横段につながって描かれ、元来は、武士が着用した小袖の柄で、室町時代に始まったといわれています。それ以外に、能装束では、熨斗目は男役の衣装で、武人、僧侶に用いられます。
季節の一皿
イイダコ踊りたこ焼き -
雞始乳
1/30 ~ 2/2
乳と書いて「とやにつく」。春の気を感じた鶏が、鳥屋に入って卵を産む時候です。熊野・志摩の漁村には、「節分」に柊の一枝を鰯の干物に刺し戸口に挿す(鬼の眼を刺す)習慣があります。鰯を「目刺し」と呼ぶのは、ここからだとか。こよみの色
孔雀青色孔雀の青い羽の色のような冴えた青色のこと。孔雀の羽や首の部分に見られる美しい青に由来し、ほんのり緑みを帯びています。明治の頃に西洋から伝わった『ピーコックブルー』を和訳したもの。孔雀の緑の羽根に由来した『孔雀緑(くじゃくみどり)』という色もありますが、こちらも同時期に伝わった『ピーコックグリーン』を和訳してできた色名です。
季節の一皿
旬(ふきのとう)を巻く─恵方巻き