森里海の色
木版画が彩る世界「シラカシ」

シラカシは、ブナ科の常緑樹で、雑木の庭にもよく使われます。


 
立春を迎えてから少し経ってしまったけれど、節気はまだ立春なので、少しそのお話を。

太陽は、1年をかけて黄道を一周する。この一周、360°を、24分割して季節を割り当てたのが、「二十四節気」だ。立春は、この二十四節気の、最初の節気で、2月3日の節分の翌日、2月4日として知られている。

今の一年は365日、360°とはぴったりあわないし、24では割り切れない。二十四節気は、一年が365日ではない時代の暦なのだ。

でも、これを現代の暦にあわせるために、「定気法」という方法が編み出された。太陽高度を24等分して、それに日付をあてはめる。当然、365は24で割り切れないので、ひとつの節気は5日間だったり、6日間だったり、4日間だったり、すこしずつズレることがある。

このズレが、2021年には立春に影響する。2021年の立春は、2月3日になる。つまり節分は2月2日になるというわけ。このあと、2025年、2029年、2033年と、4年おきに立春が2月3日になる日がくる。
来年の話をすると鬼が笑うらしいが、来年どころか、10年以上先の太陽と地球の位置関係も、もう決まっているから、定気法の二十四節気も決められるのだ。

10年後の天気は、もちろんわからない。でも、10年後の今日、太陽が何時に顔を出して、どんな高さまで登って、何時に沈むかはわかっている。

だから、住まいの設計にあたって、その太陽を、冬はたっぷりとりこみ、夏はきちんと日除けする、ということは、極めて理にかなっていることだ。

版画のシラカシは、常緑の広葉樹だ。冬にも葉を茂らせて、少しでも日光を光合成に使うという生き方を選んだ樹だ。冬こそ太陽の恵みが嬉しい、ということを知っている樹、ともいえる。

文/佐塚昌則