鹿革の財布に冬の夜を隠す

柚子へ柚子のより添ひ合つてゐる柚子湯

霜柱に傾いてゐる祠かな

熊穴に入る山襞のざわめきに

パンに載せやう薄切りの冬晴を

しろがねの鋏馨し冬木立

栗鼠に触れ落葉男が振り返る

別宅へゆく坂暗し酉の市

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