赤ちゃんにやさしい家

[びお考] 赤ちゃんにやさしい家

ネットには、あまりにも多くの情報が溢れています。住まいのことも例外にあらず。膨大な情報の波にまぎれて、大切なことを見失っていないだろうか。そんな疑問から、「びお」のもつ、住まいと生活の視点からいろんな人に聞いてみます。

 

「家を建てる理由ランキング」で、常に上位にあるのが「子どもができる(できた)」という理由です。それって、今の住まいが赤ちゃんにとって良くないってこと? 狭いから? 暑いから? 寒いから?
せっかく赤ちゃんのために住まいを考えるのなら、どんな家がいいんだろう。
赤ちゃんが感じる快適は、私たち大人と同じなんだろうか?
そんな疑問をいだいて向かったのは、北海道・札幌市立大学。この大学では、デザイン学部と看護学部が併設されているため、赤ちゃんにとっての住まいを「建築環境デザイン」と「助産」という両テーマから同時に考えることができる環境にあります。ここなら問いを解くヒントが得られるのではないか。そんな予感を持って、三人の先生を訪ねました。(企画=手の物語)

Vol.7  住まいの診断

はじめに
助産の世界では、放射をはじめとしたいくつかの方法で、赤ちゃんを低体温から守るしくみが出来ています。では、「住まいの診断」は、建築のプロの出番、だと思ったかもしれませんが、引き続き助産師の視点からのお話です。だんだん、助産師さんは熱のプロだったのか、という気がしてきました。

 

大友 助産師を目指す学生には、おひとりの対象者さんの、妊娠中から分娩、産後、一ヶ月検診までを受け持たせていただいています。その方の家の間取りを聞いて、赤ちゃんがほんとうに適した環境で過ごせているのか、窓はどこにありますか、とか、ベッドはどこに置きますか、とか、お母さんたちの寝室はどこですか、とか、本当に赤ちゃんに適していますか、ということを聞いて。

斉藤 へえー! それ、もしちょっとまずい、みたいなことがあったらアドバイスするんですか?

大友 一緒に考えて、ここはこうしましょう、というような話をします。

斉藤 へえー! マジ?(いままでになくハイテンションに)
それ面白い、そういうのって、プライバシーもあるけど、記録はどうなってるんですか?

渡邉 学生の記録の中に、どこで寝ていたとか、ベビーベッドなのか床なのか、直射日光は当たっていないかとか、ストーブはどこにあるか、とか。

斉藤 それ、見たい…!

大友 沐浴するお風呂は寒いですか、とか。建築のプロじゃないので、あんまり具体的なアドバイスは出来ないですけど、お母さんがたと一緒に考えてやっています。

佐塚 その辺は斉藤先生と一緒にやったら、すごく面白いことになるんじゃないですか?

斉藤 面白いですね〜! 住環境をどう整えて、新しい家族をどう迎えるか、ということでしょう。ビフォーアフターですよね、まさに。めちゃめちゃ面白い。興味深いです。サービスとしては素晴らしいですね。

渡邉 乳幼児支援論という授業で学生に家庭訪問の演習を教えていますけれど、必ず家に入ったら家の温度とか赤ちゃんを寝かせている環境とかを見てくるように伝えています。

斉藤 僕、さんざん渡邉先生とお付き合いがあるんだけど、はじめて知った。助産って、とりあげるところをイメージしてた。そうなんだ〜。

大友 お母さんと赤ちゃんが、24時間どこで生活していますか、寝室はどんなときに行きますか、授乳はどこで行いますか、など。

斉藤 へえ〜。先生方にとっては当たり前のことなんですか? 佐塚さん、ご存知でした?

佐塚 いや、知りませんでした。札幌市立大学が特別なわけではなくて、一般的な助産師の教育、ということなんですね?

大友 そうだと思いますよ。沐浴指導でも、お風呂場なのか、お風呂場は寒いのか、キッチンでやる場合は段差はあるか、お湯はどうやって運ぶのか、などお母さんに伺います。たとえば、お風呂場でやろうと思っていたけど寒いので、キッチンのシンクに沐浴槽をいれて、そうすれば楽だし排水も出来る、など。

斉藤 いやいや、重要ですね、これは。デザイン学部の学生にも言いますよ。すごく勉強になりました。
子どもが少し大きくなって、小学生、中学生と成長していくなかでも、ケアの仕方が違うだけで、必要とされる環境の状態は同じだと思うんですよね。
リズムは、赤ちゃんにはつくってあげるけれど、小学生や中学生は自分で判断してカーテンや窓を開け閉めする、そういうことが行えるような、選択して自分で行動できるような家が必要なんでしょうね。

まとめ
助産の世界では、住まい方の家庭訪問が実現していたのです。家政学で取り扱われる分野だと思っていましたが、まさかこういうアプローチがあったとは。男性陣は、目からウロコをボロボロと落としています。

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