立冬
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りっとう
冬が始まります。この十五日間に旧暦十月が始まることが多く、十月一日に八百万の神々は男女の縁結びのため出雲へ旅立ちます。そのため旧暦十月を出雲国では神有月、それ以外の国では神無月と呼びます。季語である神の旅からは、神々が落葉を踏み、時雨に濡れそぼち、北風に押し戻されながらも出雲へ向かう姿が思い浮かびます。何気ない日々に終わりの予感をえて哀しみのまじる季節です。
- 冬に入る挽屑の香の中に鋸
- 大野林火
金盞香
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きんせんかさく
金盞は水仙を指します。金盞花は別の花。金盞は中国の書物で水仙を金盞銀台と形容していることに由来し、水仙の外側の白い花びらを銀台、中心にある黄色い副花冠を特に金盞と呼びました。ということは、香るのは水仙の中心にある黄色い副花冠ですね。旧暦十月を小春といい、晴れて穏やかな日を小春日や小春日和と言います。暖かい日と寒い日とを交互に繰り返し、冬がだんだんと進みます。
- 水仙は歯をくひしばる白さかな
- 夏目成美