住まいのグラフィティ
Vol.8 奏でるSumai
アトリエ樫
ヘンテコで美しい音楽室のある暮らし
夫婦ともに木管楽器を吹く関係で、音の出せる部屋(音楽室)をつくりたい、その他の部分はシンプルで良い。そう思いながら、建築士の方を探していたところ、浜松市内でご夫婦ともに建築士のアトリエ樫さんを知り、相談しました。
音楽室は、四角部屋だと変な共鳴をしてしまうし、スキップフロアにも憧れがある、ならば予算も削れる土間仕上げに……とだんだん考えて行くなかで、みるみるヘンテコで美しい音楽室が生まれました。板を張る大工さんが、緊張感を持って作業をされたのを実感します。
予算の関係で漆喰壁も自分たちで塗ろうと考えました。妻の親戚のおじさんに道具など借りたいと相談したところ、快い返事をもらいましたが、規模を伝えると「とても君たちには出来ない」と説得され、ほとんどやってもらうことになりました。
音楽室は楽器の練習は元より、簡単なプロジェクターを設置し映画を見るなどしています。ときには、風邪を引いた人の避難所になります。窓にロールスクリーンを設置したところ、ぐっと落ち着く部屋になりました。
原野の竹藪を望むために、浴室の位置も検討しました。洗濯機を隠す工夫も絞り出していただきました。キッチンや収納、靴箱は音楽室との動線の兼ね合いで絶妙な配置になったかと思います。
レイアウトを詰めていくうちに“禁断”の2階が出来上がりました。当初は夫婦二人のための家でしたが、住み始めてから家族も増えたので、今後活用することができそうです。
私たちのさまざまな想いと、アトリエ樫さんの知恵を絞り出してもらったちっぽけな家は、これからも移り変わっていくと思います。
施主:山本より