我輩は歌丸である。
第20回
歌丸の恋
5月から『 令和 』なんでしょう?でも今回は平成の素敵な思い出話をさせてほしいのよ。
僕がまだ事務所猫だった頃とっても可愛い猫がいてね。凄く気が強くてさぁ。僕の理想の猫だったのよ。
お互い恥ずかしがり屋だったから、結局ガラス越しの関係で終わっちゃったんだけどね。
その子も僕の事が大好きだったと思うのよ!
まだ歌丸が小さかった頃『 ニャン娘(にゃんこ) 』と言うメス猫がいました。クロちゃん達より前にご飯を食べに来ていた実家の外猫です。
当時『 おろち 』と言う長年ご飯食べに来ていた猫がいたのですが、急に来なくなり心配をしていた頃、生き写しの様な猫(ニャン娘)が現れました。初めは『 おろちもどき 』と言う不名誉な名を与えられましたが、物怖じしない堂々とした態度でご飯を要求し、すぐに新しい名とご飯枠を手に入れました。
歌丸はそんなニャン娘ちゃんに一目惚れしました。家の中から彼女の姿を一目見ようとあっちへ行きこっちへ行き大忙し。
いざ目の前に来るとガラス越しなのにおどおどしてしまい目も合わせられません。
歌丸はニャン娘ちゃんが大好きなのに、ニャン娘ちゃんは歌丸の事が気にくわない様子。
それもそのはず!ニャン娘ちゃんの狙いは正式に家猫になる事です。
突然現れた歌丸がのほほんと家を占領している姿にイライラが爆発したのでしょう。
スイッチが入ったニャン娘ちゃんは父に猛烈アピール!色気たっぷりの表情で甘え『 時々家に入れる権利 』を獲得しました。
結果、父の膝に乗り「ねぇ!私ずっとここにいて良いでしょう?」とおねだりしている姿を歌丸は見る羽目になりました。
欲しいものを何でも手に入れる術を知っている小悪魔猫が、お間抜け歌丸を相手にするはずがありません。それでも健気にニャン娘ちゃんを見つめ続けた歌丸。彼の中で美化されたお話は平成の思い出として私の心にも残っています。
歌丸ちゃん!令和にはもっと素敵な猫が現れるかもしれないよ!その時はまた書かせてね。それはまた別のお話。