色、いろいろの七十二候
第16回
桐始結花・青桐
画/たかだみつみ
こよみの色
大暑
向日葵色 #FCC800
向日葵色 #FCC800
桐始結花
空色 #A0D8EF
空色 #A0D8EF
青桐は、箪笥や下駄になる桐とは別の樹木です。葉の茂っている様子が桐に似ていて、樹皮が青々としているので青桐と名付けられました。
枝ぶりは単調で、しみじみ観賞する木でもなく、また、桐のうす紫の花とは違いうす黄色の花が咲きますが、別段、美しい花というほどではありません。高いところに咲きますので目立たず、咲いたらすぐに落花するようです。
ただ、すくすくと伸びていて、青々とした樹皮が印象的な木です。日本では、街路樹として植えられています。
中国の古代人は、青桐の葉がいっぱいに茂ると、農耕生活に豊穣をもたらすと考えました。青桐の中国名は「梧桐」といいますが、梧には「壮大なさま」という意味があり、中国の古代人の願望が込められています。
俳人に、河東碧梧桐がいますが、名前に「梧桐」を用いています。どうしてこの俳号をつけたのか定かでありませんが、子規は、「碧梧桐は冷やかなる事氷の如し」と評しました。高浜虚子と碧梧桐は、子規門下の双璧と謳われましたが、碧梧桐は、守旧派として伝統的な五七五調を擁護する虚子を嫌っていました。子規は、「虚子は熱き事火の如し」と評していて、二人は正反対であったようです。
梧桐の夏をすがしみをりをりは畳の上にねまく欲りすも 長塚節
青桐の向こふの家の煙出し 高野素十
青桐の花しゃんしゃんと鳴る如し 川崎展宏
青桐や母屋は常にひっそりと 中村汀女
文/小池一三
※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2011年07月23日の過去記事より再掲載)