ヒグラシは秋の季語ですが、夏蝉です。それなのに歳時記では、つくつく法師の、直ぐ前に紹介されています。
つくつく法師は、中国で寒蝉と呼ばれているように、これは文句なく秋の蝉です。けれどもヒグラシは、夏の朝方か夕方に、甲高くカナカナと鳴きます。涼しげな鳴き声ですが、暑中の涼であって、いかにも夏を感じさせます。ヒグラシの候は、立秋とはいえ、夏、真っ最中ですものね。

ヒグラシは、その鳴き声から、カナカナ蝉と呼ぶ人がいます。体は緑色の地に、黒色や赤褐色の斑紋をもっていて、翅は透明でわずかに緑色を帯びています。

蝉といえば、松尾芭蕉の

が、あまりにも有名です。蝉は声の虫です。蝉が鳴いているのは、生きて在ることそのものです。

芭蕉には

という句もあります。蝉は、鳴声の激しさとその命の短さが対照的です。地上に現れて1週間の短い命を鳴くのです。それは生の謳歌おうか⁽¹⁾であって、そこには死の予感はない、と芭蕉は詠むのです。

ただ、生物的には、ヒグラシに限らず、蝉で鳴くのは雄だけです。これはギリシャの哲人アリストテレスが言っていて、常識とされていますが、では雌は、どのように生を謳っているのでしょうか?

(wikipediaより)

※１：声を合わせて歌うこと。恵まれた幸せを、みんなで大いに楽しみ喜び合うこと。

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
（2008年08月11日の過去記事より再掲載）