季節は二十四節気【霜降】の末候、七十二候の【楓蔦黄：もみじつたきばむ】。

アクトホームのある島田市では、3年に一度、寅・巳・申・亥年の10月中旬に島田大祭（帯まつり）が行われます。
この祭りは日本三奇祭にも数えられているのだとか。（※諸説あります）

私は人生のほとんどを島田市で過ごしてきたのですが、開催地と住んでいる地区が少し遠いことと、3年に1度だけということもあり、帯まつりに関しては小さい頃の朧気な記憶しかありません。
奴さんが不思議な動きをしていたような…。

島田の商店街に敷かれた大奴の絵タイル

今年は亥年。これを逃すと次は3年後。
もう一度、奴さんを見たい！

第109回となる今年（令和元年）は10月12日~14日に開催予定でしたが、台風19号の影響により、13・14日の2日間のみの開催となりました。

いただいたパンフレットを開いてみると、“このお祭りは、大井神社の御神輿が前鎮座地のお旅所へお里帰りする神輿渡御行列（御神輿、大奴、大名行列、鹿島踊り、屋台踊りなど）が主体となっている”というようなことがかかれていました。

お里帰りということは、大井神社は移転しているということ…？
調べてみると、度々起こる大井川の洪水によって神社の位置が変わっていたようです。
1604年には未曽有の大洪水によって島田の町の大半が流され、大井神社も流されて現在の元島田の野田山へ移転。1615年、島田の町並みが元に戻り、現在の御仮屋のお旅所の地に移転。その後、現在の地に移転してきたのは1689年。

台風19号では、報道を通じて、各地の甚大な水害を目にしました。
400年以上前の大洪水の際には、この地もテレビで見たような光景が広がっていたのでしょうか。幸いにも、今回の台風では私の住む地域は大きな被害はありませんでしたが、他人事ではないと再認識させられました。

さて・・・
島田大祭の開催地に到着し、まず目に入ったのは、道路の真ん中を歩く馬。背中には御殿様役の女の子が乗っています。女の子がお殿様役を務めるのは111年ぶりだそうです。

しばらく行列を見ていると、たまたま隣にいたおばあちゃんが話しかけてくださいました。

“昔はねぇ、島田にお嫁に来ると、帯を持って街をまわったのよ。美しい帯でしょう・・・”

生憎の雨で、大奴の木太刀に掛けられた丸帯はビニールで覆われていましたが、ビニール越しでもわかる、金襴緞子 (きんらんどんす)の美しい帯でした。
そして、私の記憶にあった、ゆったりとした独特の舞。

その昔、島田に嫁入りをすると、大井神社へお参り後、新婦が嫁入りの丸帯を持って町中全戸に挨拶まわりをする風習があったそうです。
しかし町並みは広域に発展していき、多くの戸数をまわるのは困難に。
そこで、花嫁に代わって、当時から安産の守護神として信仰のあった大井神社の御神輿の行列である大奴が木太刀にその帯を掛けて披露するようになったのだそうです。

続々とやってくる行列のなかには天狗姿の猿田彦も。
所々で紙片を紙吹雪のように撒いていました。
私の目の前にも…！

金と銀の紙片を拾った人は、その年縁起が良いとされているそうです。

厳かな雰囲気で運ばれていく、御神体の入った煌びやかな御神輿。

そして、県指定無形民俗文化財となっている鹿島踊。
神の心を慰めるための神事舞です。
江戸時代からの動作が正確に今に伝えられているそう。

私が訪れたのは最終日の1～2時間程だったので今回はほんの一部分しかお伝えできませんでしたが、他にも屋台踊りなど、見どころがたくさんあります。

3年後の島田大祭には、皆様ぜひ。

ちいきの記者
齋藤実保さいとう・みほ
静岡県島田市の工務店、アクトホーム(株)に入社して2年目。育てている植物の生長を観察するのが日課になりました。仕事に慣れて余裕が出てきたら、ちいきのたよりで見た景色を見に、色々な地域に行ってみたいなあ、なんて考えています。

　

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