我輩は歌丸である。
第28回
子猫たちとお別れした時のお話
四代目メイが産んだ『 子猫ちゃん達 』は元気にすくすく育っていきました。
走り回ったり、乳飲んだり、寝たりと大忙しの毎日です。
『 にゃん 』はそんな小童達が鼻につくらしく、目の前を通るだけで露骨に嫌な顔をしていました。
猫天国の日々は永遠に続くと思っていましたが、そうはいかないのが世の常です。
ある日『 5匹全員の面倒は見られません 』と宣言されました。
必死の抵抗も虚しく3匹を里親に出す事になりました。
引き取り手が見つからずしめしめと思っていたのに、突然悲報が入りました。
二子玉川の東急ハンズに里親募集コーナーがあると知らされたのです!
子猫の方が早く里親が見つかるという事で、足早にお別れの日が決まりました。
3匹を選ぶ工程は脳が拒否しているのか全く覚えていません。
遂にその日がやって来ました。
キャリーバッグに入った3匹はミィミィ鳴いたものの、すぐに鳴き止みお利口さんでした。
当時、猫は人間より数倍高い電車賃を取られました。荷札型の切符をバッグに付けいよいよ出発です!
里親募集コーナーは広場に面したガラス張りの部屋でした。
しばらく見守っていましたが、キリがないのでお昼ご飯を食べに行きました。
最後のお別れに行くと‥‥
なんと1匹は里親が決まりもういなかったのです。ホッとした様な、寂しい様な何とも言えない気持ちでした。
泣く泣く残りの2匹に別れを告げ帰る事に。軽くなったバッグを覗いたら子猫達の細い毛と微かな残り香だけでした。
後日2匹とも里親が決まった様で安心しましたが、暇さえあれば切符を眺め、みんな元気にしてるかなぁ!と思いを馳せていました。
きっと3匹とも幸せな一生を過ごしたと思います。
ねぇ!僕がもし里親募集のコーナーに入ったら争奪戦になるよね!
調子に乗るんじゃないよ。
でも‥歌丸ならありえるなぁ。その戦い絶対勝つからね!
はっ!ついつい歌丸とイチャイチャしてしまいました。来月は出番多めにしましょうか?それもまた別のお話。