ちいきのたより

Vol.83  秋月の雛めぐりと蒸し雑煮の味
福岡県朝倉市 建築工房悠山想

二十四節気では立春(りっしゅん)の末候、七十二候では魚上氷(うおこおりをいずる)を迎えました。旧暦では一年のはじまりは立春からと考えられ、梅の花が咲き始め、徐々に暖かくなり、春の兆しがところどころで見られる時期だそうです。

お正月からあっという間に1ヶ月が過ぎました。
お正月といえば、お雑煮ですが、みなさんの地域ではどのようなお雑煮でしょうか?

ここ朝倉に嫁いで、初めて知った珍しいお雑煮をご紹介します!
福岡では一般的には“博多雑煮”ですが、朝倉市の中でも一部の筑前朝倉地域には、“蒸し雑煮”という蒸すタイプの珍しいお雑煮があります。

各家庭で具材は様々ですが、イメージとしては茶碗蒸しの中に丸餅と昆布、するめ、かまぼこ、椎茸、かしわ(鶏肉)などお正月の縁起物の具が入っている感じです。

江戸中期、長崎に伝わった茶わん蒸し料理が長崎警備をしていた福岡藩に伝わり、福岡では筑前煮や水炊き等、養鶏が盛んだったこともあり、次第に卵を使う茶わん蒸し料理が広がったと考えられています。
江戸後期には朝倉に置かれた分家の秋月藩も長崎警備を代行し福岡藩とも親密だったため特に朝倉地域に広まりました。
当時、卵を使う「茶わん蒸し料理」は貴重であることから、お正月には「お雑煮」と並ぶご馳走だったため、いつしかこの2つが合わさって、より贅沢な「蒸し雑煮」が生まれたのだとか。

朝倉蒸し雑煮セットZOUNI

朝倉市ではこんな蒸し雑煮セットも販売されていますよ♪
茶碗蒸し好きの私はお正月の残りのお餅を使って、お正月以外にも作ったりしています。トロトロのお餅と茶碗蒸しの食感がなんとも言えない美味しさです。
朝倉市では、蒸し雑煮が食べられるお店も紹介されていますので、遊びにこられた際にはぜひご賞味ください!

さて、立春の節分を過ぎると、次は雛祭り♪
女の子のいるご家庭では雛人形を飾り始める方も多いのではないでしょうか。

3回目のちいきのたよりは前回ご紹介したTHE朝倉の観光名所 “秋月城下町” の季節イベントをご紹介します!!

秋月の名所・長屋門で雛人形の屋外展示があると聞き、今年初めて行ってきました!

桜の時期にはたくさんの観光客でにぎわう“杉の馬場”を歩いて、長屋門の屋外展示場所へ進みます。

杉の馬場はかつて秋月城下のメインストリートだったそうです。
現在も観光の中心として、美術館や土産物屋さんが並んでいます。

桜のつぼみはまだまだ小さく、桜の季節まではもう少しかかりそうですね。

この通りでも雛めぐりの展示場所がここそこと…

秋月城の正門に至る坂を瓦坂といい、坂には土砂の流れを防ぐために瓦を敷き並べている。

ここを通るといよいよ長屋門が見えてきます。

秋月城の雛人形

秋月雛めぐりの雛人形

長屋門の階段を雛壇に見立てた屋外展示は風情もあり、見応えがありました!
朝倉市街よりも一段と冷え込む2月の秋月ですが、今年は暖冬なので雛人形も寒そうではなかったような…(笑)

膨大な数の雛人形は20軒くらいの方々からの寄付の雛人形だそうです。今後もっと増える可能性もあるかもしれませんね!

赤・ピンク・白の梅
色とりどりの梅の花青空に映える梅桃の花でしょうか。つぼみが丸くかわいらしいピンクの花も咲き始めていました。
春はもうそこまでという感じですね。
寒いのが苦手な私にとっては春の暖かさは待ち遠しいですが、悠山想の事務所の冬の風物詩“薪ストーブ”の温かさと薪のパチパチとはじける音、薪割の音が聞こえなくなるのも少し寂しく感じるこの頃です。薪ストーブ

悠山想坂口奈津紀
ちいきの記者
坂口奈津紀 さかぐち・なつき
神奈川県に生まれ育つ。学生の頃から趣味は古民家や伝統的な街並みを見て回ること。東京の設計事務所にて伝統的構法による木造住宅の設計を学んだ後、福岡にIターン。巡りめぐって悠山想にたどり着き、そのまま朝倉市のぶどう農家に永久就職。自然の中で子育てしながら朝倉の魅力を発掘中!

 

福岡県朝倉市中原字八反田280-3建築工房悠山想施工事例
(有)建築工房悠山想けんちくこうぼう ゆうざんそう
福岡県朝倉市中原字八反田280-3
TEL:0946-21-5076
URL:https://yuuzansou.jp

悠山想の思いは自然の摂理の中で生きていく家づくりと生き方を目指すこと。福岡県朝倉市に事務所を構え、“100年もつ家は4世代が暮らすことができるもの”を目指し、長持ちする健全な構造、耐久性のあるデザイン、快適な温熱環境の住まいを設計しています。社員大工による手刻みと左官職人の塗り壁といった伝統的な手仕事にこだわり、職人の技術と共に日本の気候風土にあった現代の民家を次世代に繋げます。

ちいきのびお参加工務店さん全国図

ちいきのびお