びおの珠玉記事
第99回
まるごと使いたい・白菜の話
※リニューアルする前の住まいマガジンびおから珠玉記事を再掲載しました。
(2009年12月17日の過去記事より再掲載)
旬の白菜のお話。
白菜には水分が多く、冬に凍結してしまわないよう、糖分を増やすことから甘みが増します。寒いからこそ美味しくなる野菜というわけです。
日本人が日常的に食べる野菜は約20科・100種といわれており、そのうち白菜も属するアブラナ科が32種類で、全体の1/3を占めています。アブラナ科は、他にも大根、キャベツ、小松菜、水菜、蕪、ブロッコリー、カリフラワーなど、馴染みの深い野菜です。
現在のような、結球する白菜が日本で普及したのは、実はそれほど昔ではありません。明治になって中国から持ち込まれましたが、当初は栽培がうまくいかなったようです。白菜は交雑性が強く、アブラナ科の他の植物の花粉でも受粉してしまい、系統が維持できなくなってしまうことが多かったといわれています。
今のような白菜が流通するようになったのは大正以降、全国的には品種改良が進んだ昭和になってからのようです。
葉? 茎?
白菜は、まるごと、あるいは半分や四分の一に切って売られていることが多いですね。先端の方の、比較的緑色あるいは黄緑色の箇所は葉身(ようしん)といい、厚みのある白いところは葉軸(ようじく)といいます。字に「葉」が入っているように、どちらも葉です。葉軸を茎だと思っている人も多いようですが、実際の茎に相当するところは、葉軸の下端の芯の部分(一般的には切り取ってしまう)だけで、ほんのわずかです。普段食べているのは、すべて「葉」だったというわけです。
あの黒い点は?
旬のデータにもありますが、葉軸に黒い斑点があらわれているものがあります。汚れかと思って洗ってもおちず、気になったことはないですか?
これは、「ゴマ病」という現象です。ゴマのように見えることからこのように呼ばれており、「病」といっても、病原菌やカビなどによるものではなく、窒素過多の場合などに見られる、白菜の生理反応で、安全性には問題ないといわれていますが、見た目から市場での価値が低くなってしまうようです。
白菜の切り方
スーパーでカットされた白菜を買ってくると、中の葉がバラバラになっています。これは、白菜の切り方が間違っているからです。白菜は、芯の部分に切り込みを入れたら、あとは手で割くべし。そうすると、葉が芯とつながった状態になりますから、中身がバラバラになりません。が、いかにも半分、四分の一、という風にはならないときもありますから、スーパーでの市販には適さないかもしれません。
白菜は、水分を失わないようにしておけば、長く保存できる野菜です。まるごと買って自分で切れば、中身がバラバラということはありません。白菜は、できるだけまるごと買おう!
白菜の栄養
白菜は、大根・豆腐とともに「養生三宝」とよばれ、重用されてきました。
白菜にはビタミンCやカリウム、また肝臓の解毒作用を活性化するグルコシノレート(大根やワサビの刺激と同じ物質。ワサビもアブラナ科です)が含まれています。
白菜自体は9割以上が水分で構成されており、栄養素の含有量自体は決して多いわけではないのですが、加熱すると、かなりの量を食べられますので、結果的に少なくはない栄養素がとれるというわけです。加熱すると、自身から多くの水分が出てきますが、これを活かした料理がおすすめです。
レシピ・白菜とひき肉の炒め煮
簡単で、水分が多い白菜の良さを活かした料理です。
ひき肉 300gぐらい(豚でも鳥でも牛でも合いますが、例では豚肉)
白菜 半分
生姜 少々
にんにく 一かけ
塩・こしょう 少々
醤油・酒・みりん 少々
豆板醤 少々
2.生姜とにんにくはみじん切りにする。
3.生姜、にんにくを炒め、そのあと塩・こしょうをしたひき肉を加えて炒める。
4.ひき肉に火が通ったら、白菜を乗せ、蓋をして蒸し焼きにする。白菜から水分がでるので、水は不要。
5.白菜から水が出てきたら、醤油・酒・みりんを適量加え、かき混ぜながら、さらに白菜に火を通す。
白菜がしんなりしたところで、出来上がり。
煮物のようになりますが、水は不要。白菜から出た水分にはビタミンCが含まれているので、煮汁までいただきましょう。
お好みで豆板醤を加えると、ご飯(と、酒)がすすみます。
これで、白菜を半分使ってしまいます。前述のように、白菜は栄養の含有量自体は少ないものの、たくさん食べられるのがいいところ。
煮てよし、炒めてよし、漬物にもなる、使い道のひろい野菜です。