びおの珠玉記事
第212回
何をかけよう? 冷や奴。
※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2009年07月06日の過去記事より再掲載)
冷や奴とは。
豆腐の歴史は古く、二千年前に中国で生まれたといわれています。
日本にも古くから伝わりましたが、三代将軍・家光のときに出された「慶安御触書」では、豆腐はぜいたく品のため農民は食べることを禁止される等、庶民にはなかなか普及しなかったようです。
豆腐は贅沢品だったんですね。
さて、「冷や奴」の語源ですが、武家で働く中「奴」とよばれる人たちが着ていた半纏に染められていた「釘抜紋」とよばれる紋に見立て、食べ物を立方体に切ることを「奴に切る」と読んだことから、冷やした奴で「冷や奴」になったそうです。

「奴」の語源となった釘抜紋
薬味。
さて、冷や奴といえば欠かせない「薬味」。
ネギ、ショウガ、ミョウガ、シソ、鰹節など、いろいろな薬味がつけあわされます。
- シソ。香りの成分ペリルアルデヒドに強い殺菌作用と食欲増進作用があります。
- ミョウガ。香り成分のアルファピネンには、食欲増進、消化促進、発汗作用、血行促進作用があります。
でも、ちょっと疑問。
薬味って、食材の臭みを抑えたり、食中毒の予防をしたり、ということに使われることが多いものです。
豆腐は、あまりそういうことがない食材のように思います。
それに薬味をつけあわせるのは何故なのでしょう?
見た目が綺麗だから?
食欲増進を狙って?
こと冷や奴に関しては、夏の暑いとき、夏バテで食欲がないときにも食べられるよう、食欲増進がねらいだったのかもしれませんね。
塩も。
冷や奴をネットで検索すれば、中華風、洋風、いろいろなものが出てきます。
豆腐は、本来は大豆とにがりだけで作られるもの。シンプルなだけに、いろいろな調理方法にあいます。
しかし、シンプルだからこそ、薬味もつかわず、醤油だけで食べる、あるいは塩で食べるという方法もお勧めです。
醤油は大豆から作られます。海水から塩を作るときに、にがりが出来ます。塩も醤油も、豆腐の原料に関わりが深いものです。
冷や奴といえば無条件で薬味と醤油、という食べ方だけではもったいない。
塩だけ、も試してみてくださいね。