びおの珠玉記事
第62回
秋の味覚、栗 。
― 栗に関する知識から栗拾いまで
※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2010年09月28日の過去記事より再掲載)
めっきり秋らしくなってきました。
店先にも、とれたての秋の食材が並び始めました。
里芋、薩摩芋、栗、松茸、秋刀魚、秋鮭…等々。
食欲の秋、到来です!
今回はその中から、栗に注目してみました。
栗は、秋の味覚として、特に日本人に好まれているもののひとつです。
ほんのりとした甘味と、ほくほくとした食感。
イガに覆われた実がなっている様子は、秋の風物詩です。
店頭でも、つやつやした栗がひときわ秋の風情を醸し出しています。
野菜も果物も一年を通して手に入るものが多くなっていますが、生の栗は、今でも限られた時期にしか手に入りません。
栗の旬は9月〜10月。市場に出回るのはほんの短い期間です。
旬の味を存分に楽しみたいものです。
栗と日本人(1):大切な食糧としての栗
クリは、縄文時代から近代に至るまで、大切な食糧や用材として広く利用されてきました。
日本人にとって、クリは、切っても切れない深い絆で結ばれてきた存在なのです。
青森県青森市に、約5500年前〜4000年前の縄文時代の集落跡、三内丸山遺跡があります。
縄文時代には人々は移動しながら自然の鳥や獣などを獲る原始的な狩猟生活をしていた、とかつては考えられていました。
しかし三内丸山遺跡の発掘により、この縄文時代の人々が家を建て、集落をつくって定住、農耕生活を営んでいたことが分かりました。そして、食料の大部分は、クリなどの木の実やマメ類、ヒョウタン、イモ類、山菜などの植物であったことも次第に分かってきました。
クリは、三内丸山の人々の主食の一つだったと考えられています。
そして、DNA分析により、クリの栽培も明らかになりました。
縄文人たちは、ブナやコナラなどのドングリの木がたくさん生えた豊かな森を切り開いて集落をつくり、そしてクリやクルミは切らずに残し、集落の周りに広大なクリやクルミなどの林をつくって管理していた、つまり栽培していた、と考えられています。
福井県若狭町(旧三方町)の鳥浜貝塚(紀元前4000年)でも、整然と並んだクリの木の植え跡が発見され、そこから野生グリではない大きなクリの実が出土しています。
【参考】
▼特別史跡「三内丸山遺跡」公式ホームページ
https://sannaimaruyama.pref.aomori.jp
弥生時代になると、コメやアワ、ヒエなどの栽培が始まりました。そして自生していた小粒のシバグリとともに、大粒のクリも栽培され始めました。
現在では、日本で栽培されているクリの多くは、菓子や惣菜の原料として使われています。しかし、古代からつい50〜60年前までは、クリは凶作のときの食糧難に備えたり、戦国時代には兵糧にしたりと、救荒作物として重要な作物でした。
『日本書紀』(720年)、『本草和名』(918年)、『延喜式』(927年)、『本朝食鑑』(1697年)などの書物にも、飢饉に備えてクリを植えるように、ということが書かれているそうです。
ニホングリの祖先は山野に自生する小粒のシバグリですが、関西地方(丹波)で大粒のクリが生まれ、江戸時代に各地に広がりました。
江戸時代後半〜明治時代になると、接ぎ木などの品種改良により「銀寄」などの品種が生まれました。
クリの栽培は、1900年代のはじめ頃までは小粒のシバグリが多く、丹波グリなどの大粒種の栽培は少なかったのですが、1940〜1950年代に入ると、関東以西では大粒の丹波グリ系が大部分を占めるようになりました。ただ、東北地方では労力をかけたクリ栽培そのものが少なく、シバグリが大部分を占めていました。(なお、「丹波栗」とは特定の品種をさすものではありません。昔は品種という概念がなく産地名で呼んでいたために、この名があるといわれています。丹波栗の代表的な品種としては「銀寄」が挙げられます。その他に「丹沢」「筑波」「石槌」などがあります。)
国内各地に様々な品種が栽培されていましたが、1941(昭和16)年に発見された害虫「クリタマバチ」が急速に全国に蔓延し、 多くの品種が失われました。
それ以降はクリタマバチに抵抗性を持つ品種の育成、普及が行われ、現在に至っています。
クリタマバチに強い品種として、早生の森早生・丹沢・国見、中生の筑波・銀寄・利平グリ、晩生の石鎚・岸根などがあります。
1960年代になると、品質のよい優れた品種がたくさん生まれたこともあり、関東以西では急激に多くのクリが植えられました。そして生産量が急増し、生菓とともに加工用の原料としてたくさん消費されるようになりました。
ところが、1980年代後半からは、韓国や中国からの輸入が多くなったこともあり、国内のクリ生産量は減ってきています。
栗と日本人(2):木材、用材としての栗
さて、縄文時代の三内丸山遺跡ではクリを栽培していたことを先に述べましたが、この遺跡からは「大型掘立柱建物跡」が見つかり、そこから巨大なクリの木柱が発掘されました。
「掘立柱」とは、土台に石を置かず、直接土に埋めて立てた柱のこと。
「大型掘立柱建物跡」は、地面に穴を掘り、柱を建てて造った建物の跡です。
柱穴は直径約2m、深さ約2m、間隔が4.2m。
柱穴の中には直径約1mのクリの木柱が入っていました。地下水が豊富なことと、腐食を防ぐため木柱の周囲と底を焦がしていたため、根元の部分のクリの木が腐らずに残っていました。
6つの柱穴の規模や太さ、柱の下の土の分析から考えて、高さ約20m以上の建物であったとも推測されています。
この大型掘立柱建物跡の巨大木柱の出現が三内丸山遺跡保存のきっかけとなったといっても過言ではないそうで、復元された大型掘立柱建物は三内丸山遺跡のシンボル的な存在となっています。
また、これ以外の建物の柱や道具にも、クリが使われていました。
【参考】
▼ウチノメ屋敷 レンズの目/三内丸山遺跡・大型掘立柱建物(復元)
http://www.uchinome.jp/oasis/isiseki/isiseki03-9.html
このように、クリは縄文の大昔から、食糧としてだけでなく、建材や木材として広く利用されてきました。
ここで、クリの木の特徴を、資料から引用します。
クリは日本固有の木で、天然には北海道の南から九州まで分布している。
ブナ科クリ属の落葉高木。水はけのよい砂礫地などに育ち、日光を好む。
木材としては硬くて強度が大きく弾力があるが、狂いは比較的少ない。やや割れやすいが、腐りにくく水湿に非常に強いので、土台や水回りに適している。
特殊な使い方としては、数奇屋建築などに使われる名栗がある。六角形の各面をはつって凹凸をつけたもの。
<『橅・楢・栗 日本の原点シリーズ 木の文化5』
(新建新聞社出版部、2006年)より>
クリは他の木材に比べて、特に耐水性や耐久性に優れているため、昭和20年代までは、屋根の板としてずいぶんと使われてきました。
特に(茅葺きの)茅を手に入れにくい地域では、クリ板がよく使われました。
岐阜県の飛騨や恵那地方、埼玉県秩父地方や群馬県などでは、広く利用されてきたことが記録に残っているそうです。
クリ板の屋根は江戸時代中期から大正期までよく利用され、その中でも特に江戸末期から明治のはじめごろにかけて、最もさかんに使われたとされます。
もちろん、屋根以外に、壁板、板の間、縁側、そして柱や土台などにも、使われてきました。
さて、世界遺産になっている岐阜県白川郷と富山県五箇山の合掌造り集落をご存じのことと思います。
合掌造りは山間に住む一般民衆が生み出し育んできたものであり、気候風土や入手しやすい建築部材・生活習慣から生まれたもので、急勾配の切妻屋根という特有の外観を持っています。
その合掌造りの主要部材がクリなのだそうです。特に古い時代のものほどクリを使用している部分が多く、時代が下るにつれて代替材が多くなっているようです。
富山県南砺市にある羽馬(はば)家住宅(国重要指定文化財)は、合掌造りの古い形態を最もよく残すものとして知られており、建設年次は江戸時代中期といわれています。
土台はもとより、柱、板壁、大引、根太など、この住宅に使われている主要部材のほとんどがクリなのだそうです。
【参考】
▼五箇山 合掌造り 羽馬家住宅
http://habake.blog116.fc2.com/
時代が下ると土間のまわりの柱のみクリを使ったり、クリの柱の足元を他の材で根継ぎしたりという例が多くなります。土間は台所や紙漉き仕事の水場があり、家畜もいたりして水気が多いので、そうした場所にのみクリを限定的に使うようになっていきました。
また、合掌集落の周辺には板倉が母屋から離れた場所に建築されました(火事などの時に、母屋は燃えても倉だけは燃えないようにとの配慮により)。多雪地帯では土壁が雪ではがれやすいため、土蔵ではなく板倉がつくられてきました。そして、板倉には雪に強い材料が選ばれて使われました。
この板倉についても、特に初期(江戸時代初期の頃)のものには、石置き屋根、それを押さえる丸太、柱、土台など、クリが多用されています。板壁は一番下部がクリで他はマツ(時代が下ると板壁は全てマツになっていく)が使われているものが多いのだそうです。
さて、第二次世界大戦前まで、町場の家屋の屋根はほとんど板葺きの石置き屋根でした。
そうした屋根に一番適していたのは、水に強いクリでした。
町場では、山からクリ板を売りにくる風景が見られたといいます。板材はぬれては乾き、ということを繰り返します。雪がとけた春先には必ず屋根を修理しなければならないため、一定の需要が必ず生じました。板材は、前後を逆にして、その次は表裏を逆にして、さらに前後を逆にして、と4回リバーシブルに使っていたそうです。
こうしてみてくると、クリは非常に重要な建築用材であり、大量に使われていたということが分かります。建物だけでなく、和紙のしぼり器など道具類にもクリが多用されました。
用材としてのクリについて、上で見てきたことの他に特筆すべきこととして、日本の鉄道敷設への貢献が挙げられます。
鉄道は莫大な枕木を必要としました。
クリの木にとっては大量伐採、広大なクリ林の破壊という大きな悲劇ではあったのですが、堅くて割れにくく、腐りにくく耐久性のあるクリは枕木にうってつけの優れた材であり、鉄道の開設が始まった明治5(1872)年から昭和中期の間、枕木のほとんどにクリ材が使われたのです。
鉄道は全国につくられていき、それに合わせて、ものすごい勢いで全国各地のクリが伐採されていきました。
1870年代〜1930年代までに27,000kmもの鉄道が開設されましたが、この間、10mの高さのクリがおよそ700万本も伐採され、3400万本の枕木に利用されました。
1910年代のはじめ頃までは、枕木の90%がクリでした。ヒバ、カラマツ、モチ、ナラなどの木も少し使われましたが、これらの木は早く腐ってしまうため、好まれませんでした。
日本の鉄道がほぼ完成する1930年代になって、防腐処理をしたブナなどが利用されるようになり、クリの利用は少なくなりました。それでも、1950年代の後半においても、枕木全体の25〜30%にクリが使われていました。
やがて、コンクリート製の枕木が登場し、クリの木はその役割を終えました。(ただ、コンクリートの枕木が増えても、鉄橋やポイント(分岐)の箇所には今でも木が使われることが多いのだそうです。鉄橋には軽い用材=木の方が望ましいし、振動や騒音を吸収するというメリットもあって、木を必要とする部分が今でもあるそうです。)
このように、クリの木は日本の鉄道敷設、近代化に大きく貢献しました。
栗の種類
さて、クリは、植物分類学上ではドングリなどと同じブナ科の落葉木で、アジア、ヨーロッパ、北アメリカの温帯地域を中心に、世界で12種が分布しています。
このうち、主に食用として栽培利用されているクリは、ニホングリ・チュウゴクグリ・ヨーロッパグリ・アメリカグリの4種です。
しかしアメリカグリは、1900年代の初頭に「胴枯病」という病気が広がってそのほとんどが枯れてしまい、今では栽培されていません。
それぞれのクリの特徴を、資料から抜粋します。
<『そだててあそぼう[73] クリの絵本』(荒木 斉 編、川上和生 絵、農山漁村文化協会、2007年)および『旬の食材 四季の果物』(講談社 編、講談社、2004年)より>
日本原生の野生種はシバグリ(柴栗)と呼ばれ、現在も山野に自生している。この原生種は日本以外に、朝鮮半島と中国の遼寧省にも分布している。栽培種に比べ、果実が小さいのが特徴。
ニホングリの栽培種は、世界一果実が大きく、香りがよく風味に富むという優れた特質を持っている。そのため、風味豊かな高級クリ菓子には、収穫直後の日本産のニホングリが重宝されている。
ただ、チュウゴクグリに比べて渋皮がむきにくいのが欠点。
栽培地域は日本と韓国だが、近年は両国とも生産量、栽培面積とも減少している。
韓国産のニホングリは30年ほど前から大量にむきグリの状態で日本に入ってきている。
利用は菓子原料、栗ごはんなどの料理、ゆで栗、焼き栗など。
中国の亜寒帯から亜熱帯まで広大な地域に分布し栽培されている。栽培地域は大部分が中国。
果実の大きさは小〜中で、小さい方が品質が優れ、甘みが強い。果実は南進するにつれて大きくなるが、食味が悪くなる。
最大の特徴は、渋皮が容易にむけるため、焼き栗用に消費されていること。
日本に入ってくるチュウゴクグリは、その多くが華北産で「天津甘栗」として焼き栗で販売されている。華中から華南にかけてとれるものは果実は大きいが、甘みが少なく品質が劣る。
クリタマバチに弱いうえに、ニホングリの花粉を受粉すると渋皮がむけなくなるという性質があるので、日本での栽培は難しい。
利用は、華北産の良質のクリが焼き栗に、華中以南のやや大きいクリは、野菜や肉とともに料理に使われることが多い。
南ヨーロッパの地中海沿岸から小アジア地方にかけて原生分布している。
栽培はイタリア・ポルトガル・スペイン・フランス・ドイツなどで、近年ではドイツやフランスでの栽培が少なくなっている。
樹勢が非常に強く、大木になる。
果実の大きさはニホングリよりも小さく、チュウゴクグリよりも大きい。甘みは中くらい。渋皮は、チュウゴクグリほど容易ではないが、かなりむきやすい。
ヨーロッパでは、街角のあちこちで焼き栗が売られていて、鳥料理などのつめものやお菓子の原料として利用されている。
ヨーロッパグリはクリタマバチや胴枯病に弱いので、日本では栽培できないが、マロングラッセなどの菓子原料としてイタリアなどから輸入されている。
【参考】
▼果物ナビ/栗のページ
https://www.kudamononavi.com/zukan/kuri.htm
栗の栄養と効能
クリはビタミンC・カリウム・食物繊維などが豊富という果物としての特徴と、ビタミンE・鉄・銅・マンガン・亜鉛などが豊富なナッツ類としての特徴、そしてでんぷんが豊富という穀類としての特徴をあわせ持っている珍しい食材です。また、クリのビタミンCはでんぷんに包まれているので加熱しても壊れにくいという点で、イモ類にも似ています。
果物は一般にミネラル、ビタミン、食物繊維が多いのですが、クリは種子の部分を食べるということもあり、カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・亜鉛・鉄など、人間の健康維持に重要な働きをしているミネラルが、他の果物よりとても多く含まれています。
また、ペクチンなどの食物繊維、ビタミンB1、B2が多く、ビタミンB群の一種である葉酸も飛びぬけて多い(ミカンの3.4倍、甘ガキの4倍、リンゴやモモの14倍)です。食物繊維は大腸の粘膜を保護し、便秘を予防する効果が高いとされます。また、葉酸には造血作用を促進する効用があります。
ビタミンCはそれほど多くありませんが、それでも温州ミカンの半分ぐらいは含まれています。
このため、ニホングリを1日6〜7個食べると、ミネラルはもちろん、ビタミンや食物繊維など、大人1日あたりの必要量を満たせるといわれています。
また、クリの渋皮には強力な抗酸化作用を持つタンニンを豊富に含んでいます。
伝統的な料理法である「渋皮煮」は、クリの抗酸化作用を逃さずに食する優れた食文化であるといえます。
栗の収穫体験に行ってきました!
さて、「クリをお店で買うのもよいけど、クリ拾いってまだしたことないから、やってみたい!」と思い立ち、”クリの収穫体験”に行ってきました。
「びお」編集部のある浜松市近辺でクリ拾いができそうなところをWebで調べてみると、3〜4か所ほど見つかりました。そのうち、今回は「はままつフルーツパーク」に行ってきました。
ここではクリの収穫体験は9月中旬から始まっていました。毎日できるわけではなく、1週間のうちに3日ほどの日程が組まれていました。
そして、狙ったその日は、先着30組限定!
開園時間である朝9時から、整理券を配布するとのこと。
早めに到着するようにしよう…と思っていたのに、うっかり寝坊してしまい、慌てて(でも安全運転で)はままつフルーツパークへ向かいました。
9時少し前に到着し入口に向かうと、開園を待つ人の行列ができていました。
「……!」
果たして整理券をもらえるのか?! ドキドキです。
恐る恐る係の方にクリの収穫体験希望であることを伝え、「まだ大丈夫でしょうか?」と聞いてみると…笑顔とともに、「大丈夫ですよ!」という答えが返ってきました。
よかった〜〜。
無事、整理券ゲットです!
しばらく園内を散策し、クリの収穫体験開始の10分前に、クリ園へと向かいました。
こんな看板が出ています。
30組限定ですが、家族で来ている方たちが多く、かなりの人数が集まっています。
子どもたちは、かなりワクワクしている様子。「まだかな、まだかな」という心の声が聞こえてきそうです。
開始時間までクリ園には入れないのですが、外からちょっと覗いてみると…
クリがいっぱい落ちていそうです!
そして、入口の前には、クリ拾い用の手袋と火ばさみが用意されています。
記者も、ワクワク感が高まってきました!
楽しみ〜。
はじめに、係の方から次のような説明がありました。
・全員の準備ができてから、開始します。クリ園の中では走らないように、イガなどで怪我をしないように気をつけてください。
・クリは、みなさん、イガの中に入っているものばかりを拾いがちですが、外に落ちているクリは木の上でイガがはぜて自然に落ちたもので、熟しているクリです。外に落ちているクリにもかなりいいものがありますので、ある程度拾っていただければと思います。
イガに入っている方が新鮮、というわけでもありません。
・クリのお尻が白くなっているものがありますが、1日おけば茶色くなるので、問題ありません。
お店で売っているクリは、ある程度日数が経っているので、茶色なのです。
(つまりクリのお尻が白いのは新鮮な証拠ってことですね。)
その後、整理券の番号順に、手袋・火ばさみ・クリを入れるための袋が配られました。
そして、いよいよ、クリの収穫体験、開始です!
クリ園に入ると、思ったとおり…たくさんクリが落ちています!!
うーん、おいしそう〜!
はぜているイガから、クリの実を取り出したり、
外に落ちているクリを拾ったり。
一つ一つ、穴が開いていないか、虫がいないか、確認しながら拾っていきます。
係の方の説明にあった、「お尻が白いクリ」も発見しました!
もちろんこれも拾います。
落ちているクリの中には、膨らまなかった、未成熟なクリもあります。
そして、中にはこんなクリも…。
開いた穴から、虫の顔が覗いています。
けっこうグロテスク。
虫嫌いな方、ごめんなさい。
イガに入っているクリでも、未成熟なものや、
穴があいているもの、
虫がいるものなどもありました。
右上のようなものも、ダメそうですが…でも、こんな様子でも、手でごしごしこすってきれいにすれば、大丈夫なものもありました。
次々に、クリを拾っていきます。
拾っては袋に入れ、拾っては袋に入れ…
袋がだんだん膨らんで、重くなってきました。
うん、幸せな重さ!
他のみなさんも、楽しそうにクリを拾っています。
落ちているイガの中には、はぜていないものもありました。
それも開いてみます。
(1)まずはこのイガ。どうでしょう?
開いてみると、立派に育ったクリと、未成熟なクリが同居していました。
これはおいしそうだ!
(2)さて、お次のイガは?
火ばさみと手で、イガを開きます。
イガがなかなかうまく開けず、手こずったものも多かったです。
手袋をしていても、うまくやらないとイガが指に刺さって…チクッ「イタタッ!」ということになります。
ええ、もちろん、何度かやりましたとも…チクッ「イタタッ!」
そうやって苦労して開いたのに…ああ、こりゃダメだ〜。
開けてガッカリ、ということも度々ありました。
(3)次のイガはどうでしょう?
手こずった挙句、ようやく少し開けました。
おっ、よさそうなクリが覗いてるぞ。
こちらは大当たり〜!
ぷっくりした、いいクリですね。
全て開くと、3つ入っていました。
3つとも収穫!
(4)さて、もうひとつ。
こちらのイガは、はぜるところまでいっていませんが、少しだけ開いています。
これなら開きやすい!
開いてみると、これまた立派なクリが現われました。
やった!
でも1つは未成熟で平たく、イガに張りついています。
イガに入っているクリや、外に落ちているクリで、鬼皮がはぜているものもありました。
はじめはこれはダメかな? と思っていたのですが、係の方に聞いてみたところ、クリが大きくなろうとするのに耐えられずに皮が破けてしまっただけで、虫がいなければ特に問題ない、とのことでした。
はちきれんばかりに育ったクリ(というか、はちきれてるんですが)…おいしいのでは?!
見てください、このクリ!
ツヤツヤで、新鮮そのもの!
夢中になって拾っているうちに、はっと気づけば、周りの人の数はだんだん少なくなっていました。
さて、そろそろ引きあげようか…。
係の方も少しずつ片づけに入っていました。残されたイガやクリを拾って集めています。クリ林の外に停められた軽トラックの荷台には、こんなにたくさんのイガが集められていました!
係の方に、「このクリは新鮮でツヤツヤしていて、おいしそうですね! 実は昨日、スーパーで売っているクリを見て、買おうかどうか迷ったんですけど…たまたまそのクリはツヤもなくて、あんまりおいしそうじゃなかったんですよね…」と話しかけてみると、
「クリは採ったそばから、どんどん水分が抜けていくからね。1日何グラムって、重さが減っていくんですよ。でも、1〜2日陰干しすると、甘さが増しますよ! 干し過ぎると、渋皮が剥けにくくなるけどね。くれぐれも日には当てないように。」と教えてくれました。
「いいことを教わりました。陰干ししてみます!」
この日拾ったクリを、ビニール袋に入れてもらい持ち帰ったのですが、数時間後、袋の中に水滴がついていて、クリからどんどん水分が抜けているのだということを実感しました。
さて、クリを拾っている最中は地面ばかり見ていたのですが、ふと顔を上げてみると…クリの木にも、たくさんイガがついています。
うーん、立派なイガですねえ!
木の上ではぜているイガも発見しました!
クリの実だけ、下に落ちたんですね。
これを見ると、最初に受けた「外に落ちているクリにもかなりいいものがあります」という係の方の説明も、よく分かります。
そして、木の上ではぜたイガの中に、まだ下に落ちていないクリの実があるのも発見! 落ちそうに見えるけど、まだ落ちないんですね。
こんなのもありました。
これはたぶん、真ん中の大きくなったクリの実だけが下に落ち、両側の熟していない実だけ上に残っているんでしょうね。
さらに、発見!
木の上ではぜたイガの中に、クリの実がいっぱい詰まっています。
あれ、絶対おいしいクリだよな〜と、しばし見つめてしまいました。
さて、まだちょっと名残惜しいのですが、周りのお客さんはみんないなくなり、記者たちが最後になってしまったので、後ろ髪を引かれつつ、クリ林を後にします。
拾ったクリの重さを測ってもらい、お会計。
100gにつき80円です。お買い得ではないでしょうか。
この日拾ったクリは、1.3kg余り(1325g)。締めて、1,060円なり。
この日の収穫、ご覧ください!
クリが入った袋はずっしり。
たくさん収穫できました! ほくほく。
記者はもともと「収穫する」という作業が大好きなのですが(誰でもそうかもしれませんが)、クリの収穫体験、思っていた以上に楽しかったです!
果実が実っている光景を見るだけで豊かな気持ちになりますが、それを収穫できるのは、なおのこと嬉しいです。
拾ったクリは、1〜2日陰干しするとして、このクリで何を作ろうか、どうやって食べようか…目の前でツヤツヤしているたくさんのクリを眺めながら、そんなことを考えるのは、幸せなひとときです。
さて。
クリ拾いに行くもよし。
クリを買ってくるのもよし。ゆでたり蒸したりして食べるのもおいしいし、料理やお菓子を作ってもいいですね。
クリのお菓子を買ってきてティータイム、なんていうのもいいですね。
みなさんも、栗を、秋を、思いっきり楽しみませんか?
▼はままつフルーツパーク
http://www.tokinosumika.com/hamamatsufp
掲載写真
三内丸山遺跡 復元された大型掘立柱建物(六本柱建物)写真:DoWhile(パブリックドメイン)
白川郷の合掌造り写真:Leyo(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承(CC BY-SA)2.5 スイス)
参考資料
・そだててあそぼう[73] クリの絵本(荒木 斉 編、川上和生 絵、農山漁村文化協会、2007年)
・橅・楢・栗 日本の原点シリーズ 木の文化5(新建新聞社出版部、2006年)
・旬の食材 四季の果物(講談社 編、講談社、2004年)