色、いろいろの七十二候
第46回
乃東生・ゆず
土器色 #C37854
中紫 #846582
窓の外は凍てつく寒さでも、お風呂に柚子を浮かべると、ホカホカとした気分を味わうことが出来ます。誰が一体、こんなことを始めたのでしょうか。冬至と柚子との関係を、少しばかり調べましたが、よく分かりません。
湯治と冬至の語呂合わせで、御身息災であれば融通が利くという、まことしやかな説がありますが、そんな理屈から始まったとは思えません。
けれど、端午の節句の菖蒲湯と並び、冬至の日の習慣として定着しているのはなかなかの話であって、この国の文化度の高さを示していて、うれしく思います。
柚子は、平安時代には、ただ一言「ユ」と呼ばれたそうです。「ユズ」と呼ぶようになったのは、江戸時代以降のことだそうです。「柚」に「子」が付いた「柚子」は、「柚(ユ)の実(ズ)」という意味で、植物そのものが「ユ」、その果実を「ユズ」というのが本来の形なのでしょうね。
柚子湯は効能が高く、冷え性や神経痛、腰痛などを和らげる効果があるそうです。果皮に含まれるクエン酸やビタミンCにより美肌効果も高いそうで、薬湯とされます。この薬湯という文字は「くすりゆ」と読みたくありません。「やくとう」がいいですね。湯茶のようで。
「桃栗三年、柿八年、梅は酸い酸い十三年、柚子は大馬鹿十八年」といわれるように、この樹は成長が遅いことで知られます。
ともに子規の句です。柚子は直立性の大木になる樹木ですが、そこまで成長するには気が遠くなるほどの時間が掛かります。この句は、そういう柚子の性格がよく踏まえられていて、子規は、ものをしっかり見る人だったと、改めて思いました。
柚子は暑熱に弱いけれど、耐寒性が強く、他の柑橘類より手が掛からないそうです。また、消毒の必要がなく、無農薬栽培が比較的簡単にできる利点があるそうです。それを聞いて、家の庭に一本植えようと思っています。
(2010年12月22日の過去記事より再掲載)