ちいきのたより
Vol.87 人と歴史を繋ぐ石
北海道札幌市 マルワホーム企画
本日から「桜始開(さくらはじめてひらく)」
北海道の冬はもう少し先まで続きそうですが、少しずつ春の日差しが感じられる日が増えてきました。
…とは言っても、まだまだ雪も降るし夜には道が凍るだろうなあ。
薄い上着だけで外に出られる季節が待ち遠しいです。
ところでみなさんは札幌だけで採掘されている「札幌軟石」をご存知ですか?
札幌市南区で採掘される札幌軟石の歴史は明治時代の初期から始まると言われています。
約4万年前に支笏湖 ができた時の火山活動の際に流れ出た火砕流が固結して誕生したのが、札幌軟石。
当社の施工例でも外壁の一部に使用したり、お庭に置いたり敷いたり…使う場面はおうちそれぞれ。
耐火性に優れていて加工もしやすく、建築資材として幅広く使われています。
石材ではありますが冷たさはなく、寧ろ温かみのある質感で、じんわりとその場に溶け込んでフィットするような、そんな風合いを持っています。
実はこの札幌軟石の採掘・加工を行っているのは辻石材工業㈱さん一社だけ。
明治25年に初代の辻平五郎さんが渡道して軟石の採掘を始めたのがきかっけで、現在の辻昌之さんで五代目になるそうです。
職人さんは叩いた音で石の状態がわかるそうです!ベテランの業ですね。
巨大な岩肌は迫力満点。採掘場の見学もできるので是非足を運んでみてください。
明治中期~大正時代には軟石が建築資材として盛んに使われました。
市内ではその時に建設された建物を訪れることもできます。何だかロマンがありますよね。
こちらもその建物のひとつ。「ぽすとかん」(旧石山郵便局)
昭和15年に軟石で建てられ、札幌市の景観資産第5号にも指定された貴重な建物です。
元々は個人所有の建物だったそうですが、個人で固定資産税や建物のメンテナンスをするのは大変で常に閉まっている状態でした。
そこで、地域に住む人たちがこの歴史ある建物を残しつつ、使っていく為に…と考えたのが「ぽすとかん再生プロジェクト」
修繕・改修費用をクラウドファンティング(民間からの資金集め)から支援をもらい、維持費をまかなう為に軟石グッズの販売所とカフェをつくり、昨年2019年5月からオープン。
現在は地域の人たちの憩いの場、ギャラリースペースとしても活躍しています。
オープンしてまだ10ヶ月ほどですが、近所に新しいお店が2店舗増えたそう。こういう活動は地域の活性化にも繋がっているんですね。
珈琲、ポストカード、トートバックなど、ぽすとかんオリジナルの品々が並びます。
軟石を使ったグッズを制作、販売している「軟石や」さん
軟石の吸水性を活かしたアロマストーンで人気の「かおるいえ」がとっても可愛い!
アロマオイルを2~3滴しみ込ませれば2日程香りを楽しむことができます。
この屋根の色は札幌景観色というものを採用して作られているそう。
札幌景観色は、まちづくりの為に札幌の風土イメージから選ばれた70色のことで、さっぽろテレビ塔や市内の中学校、橋などの外観色に採用されています。
大通り公園のベンチも札幌景観色で塗られていて、実は色が全部違うんだとか。
わたしは今日まで札幌に景観色があるなんて知りませんでした!
こういう発見ができる度に、住んでいる地域を見つめ直して調べる楽しさを実感します。
「子供がなんとなく触って好きになって、もう少し大きくなって色々なことがわかるようになったら何に使うものなのか、どこでどう作られているのか、そんなふうに軟石を知っていってほしい。軟石やはそんな入口みたいなものであってほしい」
今回は軟石やの小原さんにおはなしを聴くことができました。
わたしは建築の仕事に携わってから軟石という素材に出会いましたが、違う職種に就いていたらずっと知らないままの素材だったかもしれません。
新しいものに触れると、それだけでなくそれに関わるものへの関心や視野がぐっと広がっていくような気がします。今回も軟石そのものだけでなく、地域の人たちが協力して維持されている歴史的な建物や、地元の作家さんの作品、人々の繋がりなど、たくさんのことを肌で感じるよい機会になりました。
みなさんにも軟石の良さを感じて貰って、色んな方たちの手にもっと触れて、ずっと大切に守られていくような存在になったらいいなと思います。
ちいきの記者
田中葉月たなか・はづきお米の町 北海道深川市で生まれ育った生粋のどさんこ。今は札幌市の小さな工務店で暮らしのお手伝いをしています。食べることが大好きで、派生して食器集めも好きになりました。
北海道ならではの四季の移ろいや魅力を発信していけるよう、自分らしく毎日を大切に過ごしていきたいです。
(株)マルワホーム企画まるわほーむきかく
北海道札幌市北区北36条西8丁目1-1
TEL:011-707-3111
URL:http://www.maruwa-k.co.jp
私たちは「世界に一つだけの家」を求めるお客様から依頼を請け文字通り、オリジナルの木造注文住宅を札幌中心に手掛けています。だからこそ施工エリアは本社のある札幌市から車で60分以内。
年間に手掛けるのは多くとも新築20棟まで。家を建てたあとも、いつでも駆けつけられるように。こだわり抜いた家づくりを実現するために、制限を設けています。創業以来45年間、時を越えて愛せる家づくりを今までもこれからも真面目に行っています。
https://www.maruwa-k.co.jp/movie
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