ちいきのたより

Vol.113  時の移ろいを感じる、沼と共存する公園 
北海道札幌市 マルワホーム企画

本日から「玄鳥去つばめさる

春先にやってきたツバメが去りはじめる頃。
越冬先である南の地域までは数千㎞もあるそうです。
子育てを終えたツバメの姿を見かけなくなる頃には秋が深まっているでしょうね。

今回はわたしが暮らす北海道札幌市内ですきな公園のひとつ、「モエレ沼公園」のおはなしをしたいと思います。

広大な緑が広がる公園。この日は晴天で、光と風が気持ちいい快適な時間を過ごせました


この「モエレ沼」という独特なネーミングですが、これはアイヌ語の「モイレペッ(静かな水面・ゆったりと流れる、を意味する言葉)」を由来として名付けられたそうです。
アイヌ語ってちょっと独特で、一度聞くと忘れられない呪文のような不思議な響きですよね。

モエレ沼は札幌市内に流れる一級河川(とても大きな川のこと)である「豊平川」が自然河川として流れていた時代に、洪水や氾濫でできた河跡湖と考えられています。

札幌市東区に位置する公園で、約1,888,000㎡の面積を持ちます。
数字だと全然ピンと来ないですが、東京ドーム約40個分に値するそうです・・・とにかく大きい!


公園内は幾何学形態を多用した山や噴水、遊具などがあちこちに配置されていて、自然と芸術がお互いのいいところを引き立て合っているように感じます。
今では緑の溢れる素敵な公園ですが、実は元廃棄物処理場で約270万tの廃棄物を埋め立てた後に造成されました。

モエレ沼公園は、1978年に札幌市が自然の沼地としての存続が危機的な状況にあったモエレ沼の保全を兼ねて大規模な公園に改造しようと着手することになったことが始まりとなります。
当初は野球場や植物園を設置したり桜を植えたりと、日本で一般的な大型公園を目指していたようです。

しかし、1988年に彫刻家イサム・ノグチが札幌を訪れた際にこの地に強い関心を寄せ、公園設計へ全面協力することを発表しました。ここから公園のコンセプトはがらりと変わります。

目指したのは「全体を彫刻と見なした、宇宙の庭になるような公園」


何もない土地に作った大きな公園、というだけではないところにわたしは強く惹かれるのかもしれません。廃棄物処理場、環境のこと、街としての在り方・・・色んな背景が人を動かしてこんなに壮大で美しい公園を創りあげることになりました。

この公園を設計した、20世紀を代表する彫刻家イサム・ノグチ。

イサム・ノグチといえば和紙と竹ヒゴを用いた「AKARI」シリーズに馴染みがあります。和紙を透けて溢れる明かりは、柔らかい光を空間へ広げてくれます。デザインも勿論ですが、手に取りやすいコストパフォーマンスのよさも人気のひとつに上がる作品だと思います。

和紙の質感が空間に柔らかい光を広げます。形や大きさは200種類にも及びます


公園のシンボル的な存在であるガラスのピラミッド「HIDAMARI」でもAKARIの光を体感できるギャラリー、公園の歴史なども紹介しています。

(ガラスのピラミッド内にはレストランや多目的スペースも設けられています)


今回訪れた日の前日には「モエレ沼芸術花火」が開催されていました。
音楽に合わせて打ち上げられる花火は幻想的で、札幌でも人気の花火大会のひとつです。

ユニークなのが、その花火大会が行われた翌日に公園周辺で開催される「世界一たのしいゴミ拾い」

(お昼頃訪れた時にはカゴいっぱいのゴミが集められていました)


こういった試みは、大人の方だけでなく小さなお子さんにも環境保全の大切さを身をもって楽しく体感できる素敵なイベントだなと感じます。

公園ではサイクリングやランニング、ちょっとテントを立ててくつろいだり、緑の中で食事を楽しんだり・・・人々が自然を肌で直接感じて、それぞれの時間をゆったりと過ごしていました。

わたしは初めてこの公園を訪れたとき、何とも言葉にできないような自然の豊かさや広大さ、芸術と自然の調和、ここで時間を過ごす方たちの安らかさを感じました。

「何かをしていて時間がこんなに経っていた」というのではなく、1分1秒の「本当の時の流れ」みたいなものを感じることができる公園だと思っていて、それがこの公園の魅力だと感じます。

わたしたち一人ひとりがこれからも造り上げ続ける場所であり、人から大切に守り続けられて、色んな人の癒しの場所になるといいなと思います。

田中葉月
ちいきの記者
田中葉月たなか・はづきお米の町 北海道深川市で生まれ育った生粋のどさんこ。今は札幌市の小さな工務店で暮らしのお手伝いをしています。食べることが大好きで、派生して食器集めも好きになりました。
北海道ならではの四季の移ろいや魅力を発信していけるよう、自分らしく毎日を大切に過ごしていきたいです。

 

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URL:http://www.maruwa-k.co.jp
私たちは「世界に一つだけの家」を求めるお客様から依頼を請け文字通り、オリジナルの木造注文住宅を札幌中心に手掛けています。だからこそ施工エリアは本社のある札幌市から車で60分以内。
年間に手掛けるのは多くとも新築20棟まで。家を建てたあとも、いつでも駆けつけられるように。こだわり抜いた家づくりを実現するために、制限を設けています。創業以来45年間、時を越えて愛せる家づくりを今までもこれからも真面目に行っています。
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