我輩は歌丸である。
第38回
ふた家族に愛されたガズ
今年最後はたくさんの人から愛されたぶちゃいく猫『ガズ』のお話です。
いつもの事ですが、何となく我が家に居着いた外猫は汚らしくてふてぶてしい態度でした。しかし良く見ると愛くるしい顔をしています。
大きな顔につり上がった目、ひしゃげた鼻は息がしづらそうです。顔のパーツは中央に寄っていて、唇には黒い模様(シミ?)が付いていたりと何から何まで可愛いくなくて可愛い!!
その姿は絵本『はらぺこガズラー』※の何でも食べてしまうガツガツ猫、ガズラーそのものです!
彼には『ガズラー』と言う名が与えられ、そのうち『ガズ』と呼ばれる様になりました。
ガズはその愛くるしい姿でみんなの人気者でした。特に父から可愛がられたくさん写真を撮ってもらっていました。我が家へ取材に来た方の心も掴み、ガズの絵が雑誌に載った事もあったのです!
そんなガズが年を重ね病気がちになっていたある日、突然外国人の女性が訪ねてきました。
彼女の話によるとガズは自分の家の猫だったけど、身重で小さい子供を育てる事に必死でなかなか相手をする事が出来なかった様です。
この家に出入りしている事を知って挨拶とお願い事をしに来たとわかりました。今の私にはどうしても病気のガズを見守る事が出来ないのでお世話して欲しいとの事でした。
我が家で最後まで面倒を見ますよと彼女に伝えると、何度も何度もお礼を言って帰って行きました。
だいぶ弱ってきたガズを毛布で包みしばらくは家の中で過ごしましたが、とうとう旅立ってしまいました。
ふた家族に愛されたガズはとっても幸せな人生だったでしょう!
それにしても二重生活を何年も隠し通したガズ!あっぱれ!
ねぇ!そこにあるカリカリ(ドライフード)取ってくれない?手が届かないのよ!
起き上がって自分で取りなよっ!
猫は呑気で良いよなぁ。毎年1年の終わりには来年こそ猫になりたい!と思います。2021年は歌丸のお話が増えるかな?減るのかな?それはまた別のお話。
※:『はらぺこガズラー』作・絵:ハアコン・ビョルクリット 訳:かけがわやすこ