我輩は歌丸である。
第7回
細かい事は気にしない
ぼくはね、細かい事は気にしないのよ。だからと言って、小細工されてゲラゲラ笑われるのは心外なわけ。何が楽しいのか全然わからないのよ。でも紙袋は大好きだからかぶるとついつい興奮しちゃうのよね。
幼少の頃から猫と共に生活をしてきましたが、歌丸と出会った事で猫って変な生き物だなぁとますます思う様になりました。
歴代の実家猫達は一日の大半を外で過ごしていたので、彼らの行動を特に気にしていませんでした。しかし歌丸は四六時中家にいますので、気になる習性や行動が出てきたのです。
例えばトイレの前に激しく走り回る事。まさに一人運動会。非常に迷惑です。この行動は排泄中に襲われた時、すばやく逃げられる様にテンションをあげるとも言われています。実家猫が柿の木を激しく昇降する姿は悪魔が取り憑いた様で怖かったのですが、納得がいきました。
そしてお尻からとても臭い液体を出す事。色々な理由があるらしいですが、歌丸の場合は甘える時にピッと出します。抱っこをねだられて応じた後しばらくすると例の匂いが。これがうんざりするほど臭いのですが、クセになる魅惑のかほりです。
歌丸独特の行動もあります。基本的に私のいたずらに対して無抵抗です。実家猫達は嫌がった顔周りへの細工にも全く動じません。紙袋をかぶるのは好きな様で、穴からのぞく目は瞳孔全開! そんな時は覆面レスラーごっこをしてあげます。
また無表情でボーッとたたずんでいる事も多いです。実家猫達はそんなだらしない姿は見せませんでした。アイスの蓋を頭に置いても無表情。照明に照らされても無表情。と思いきや、私を見下ろすその視線には一瞬殺意が宿ったような……。
ひょうひょうとした猫の姿は世知辛い世の中に必要であり、ノーベル平和賞を取ってもおかしくないと思います。受賞したとしてもボブ・ディラン並みの対応を取りそうでドキドキしちゃう。
次回は実家のモジュールに馴染む歌丸について。それはまた別のお話。