企画展『HABITER PLUS-HABITER MIEUX』とイベント『Japonismes 2018』
ところかわれば
| 森弘子
今回は夏休み特別号として、この夏パリでおこなわれている展示とイベントをご紹介します。
ひとつ目は、企画展『HABITER PLUS-HABITER MIEUX』。
会場はフランス・パリのセーヌ川沿いにあるPAVILLION de l’ARSENAL。1988年に開館した、パリの建築や都市計画に関する情報や書籍が集まり、展示やさまざまなイベントが行われるスペースです。地上階にはパリの歴史的変遷を中心に、都市計画に関する常設展示が行われています。
現在行われている企画展『HABITER PLUS-HABITER MIEUX』(よりよく建て、よりよく生活する)では、昨今のパリにおける住居事情を背景に、これからの住居建築がどうなっていくか?というテーマのもと、約60以上の建築プロジェクトが、掲げられた問題ごとにカテゴライズされ、模型や映像、インタビュー、プロトタイプ、パースや図面などを用いて紹介されています。加えて、1780年から2018年にかけてのパリの住居事情や都市計画を年代別に示したパネルも展示されています。
各プロジェクトは6つの問題に沿ってカテゴライズされています。現在パリは住居建築を建てるための土地が不足しているため、”限られた土地の中でどう工夫して住居建築を建てていくか?”というカテゴリでは、完成したプロジェクトも含めいくつかのプロジェクトが展示されています。シェアハウスや共同で家を持つことなど「シェア」をテーマにしたカテゴリや、テラスやバルコニーなど外部空間をどのように獲得することができるか?(あるアンケートでは59%の人が自分の住居に外部空間を持ちたいと思っているという結果が出たそう)というカテゴリなどは日本と比較しても新しい発見がありそうです。他にもフランスならではのテーマである、移民の人たちのための収容センターをどう設けるかという内容や、どうすればよりよく建設し消費を抑えられるかといった環境問題に関わるカテゴリもまとめられています。
残念ながらこれらの展示のキャプションはフランス語のみなのですが、展示されている模型や図面の量が多く、それらを一つ一つみていくだけでも十分なボリュームです。
http://www.pavillon-arsenal.com/en/expositions/10947-building-better-living-better.html (英語)
会期:2018年4月5日(木)〜2018年9月2日(日) 入場無料
開館時間:月曜日を除く、11:00〜19:00
アクセス:最寄りメトロ7番線 Sully-Morland駅 21, boulevard Morland 75004 Paris
ウェブサイト:http://www.pavillon-arsenal.com/en/
ふたつ目は、日本の文化紹介の大イベント『Japonismes 2018(ジャポニスム2018)』。
日本でもニュースでオープニングの様子が放映されていたのでご存知の方もおられると思いますが、2018年7月から来年2019年2月にかけて、パリを中心にフランスにおいて100近くの会場で、展示会や舞台公演などさまざまな日本の文化が多岐にわたって紹介される大規模なイベント『Japonismes 2018』が開催されています。展示会は若冲展をはじめ古典から現代に至るまで、公演は歌舞伎や雅楽、現代演劇、映画、さらにはお祭りや食文化、生け花など生活・文化に関わる紹介イベントも開催され、パリは8ヶ月間日本一色になります。
公式ウェブサイト:https://japonismes.org/
プログラム一覧:https://japonismes.org/officialprograms
※全体の会期は8ヶ月ですが、それぞれの展示や公演の会期は異なりますので、各プログラムをウェブサイトでご確認ください。
今回ご紹介した展示とイベントはいずれも今現在パリで開催されているものです。この夏休みにパリに来られる方は、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。