フランスの引越し事情
ところかわれば
| 森弘子
昨年6月の記事でパリのアパルトマン探しについてご紹介しましたが、我が家はその後無事にアパルトマンを見つけ、引越しをしました。今回は我が家の引越し事例を通して、フランスと日本の引越しのちがい、そして我が家も被ったフランスの引越し「あるある」をご紹介したいと思います。
1.契約から入居まで
ひと月かけ、インターネットや不動産屋さんのウインドウを見ていくつか候補をあげ、実際に訪問もしました。結果予算にもあい、立地なども納得のいくアパルトマンを昨年の6月頭に見つけ、早速必要な審査書類等を不動産屋さんへ送り、幸い順調に審査が進み、入居できる運びとなりました。このアパルトマンは家具付き(meublé)ではなく、家具なし(vide)の物件でしたが、冷蔵庫とキッチンコンロ、オーブン、洗濯機は備え付けのものがありました。家具なしの物件では、キッチンコンロ台が丸々キッチンカウンターから外されていて、その部分も自分で用意しなければならないという場合もあります。
引越し前、引き渡しの際には、大家さんまたは不動産屋さんとともに現地でétat des lieux(入居前の物件の状態確認)をします。入る前にすでにある汚れや不具合をともに確認し、特筆すべき箇所があれば契約書類に書き込んでいきます。ちなみに退去時にも同様の確認を行います。
2.引越し当日
日本では引越しの際、引越し業者さんに荷物の運搬を依頼する場合が多いですが、フランスでは多くの人が自らパッキングし、大型のバンを借りたりして引越しをします。大型のチェーンスーパー等がバンのレンタルをおこなっていて、それらを利用する人も多いようです。我が家はまだパリに移住してから間も無く荷物がそこまで多くなかった、元の家が家具付き物件だったので家具の移動がなかった、かつ引越し先が前の家から徒歩15分程度だったので、仕事の後や休日にスーツケースとバックパックに荷物を詰め、数往復程度でなんとか引っ越すことができました。
3.引越し後
引越し後の手続きで意外と面倒なのが、電気の契約。フランスでは、各住宅にPoint De Livraison(略してPDL)という14桁の登録番号のようなものが割り振られており、それを前の住人から引き継ぎ、電力会社にその番号と前の住人の氏名(不明でもOK)を連絡し、住居人及び支払人が変わった旨を連絡します。ところがこの変更のために電力会社に電話する必要があるのですが、とにかく電話が繋がりにくい。我が家は数日間仕事の合間で何度か電話をかけ、ようやく繋がり契約変更をすることができました。
4.古いアパルトマンに住む人が受ける“洗礼”
さて、無事に6月末の週末に新しい我が家へ入居が完了したかに見えた矢先、フランスのアパルトマン「あるある」に我が家も早速直面しました。生活を開始した週明け、階下の店舗の店員さんから電話があり、「お宅のバスルームから水漏れしていて、共用部の通路に水が滴っている」。パリの古いアパルトマンに住んでいれば必ず起こると言っても過言ではない「水漏れ問題」です。我が家には引越してすぐ発生してしまいました。即刻トイレ以外の水の使用が禁止され、不動産屋さん経由で次の日には配管工の人が確認に来ました。「水漏れの位置を確認します」と言われ、しばらくするとバスルームから騒音が・・・。
なんと、水漏れがどの位置からも確認できなかったので、バスルームの床半分をはつっていました・・・。結局、写真左手のシャワーの配管部分が原因ではなく、水漏れ箇所は右手のバスタブの内部。しかもバスタブ横に点検口があったので、そこを外せば済む話だったのですが、わからないからとりあえず開けてみよう、というなんともフランスらしいハプニングでした。
後日談ですが、結局床をはつった工事の直後にフランスのバカンスシーズンに突入してしまい工事業者も休業、かつバカンスが開けて通常営業になっても工事を平気で遅らせてしまうのがフランス。結局はつった箇所が元どおりに修理されフローリングできちんと塞がれたのは、なんと4ヶ月後の昨年11月に入ってからでした。
半分床がはがされたバスルームを使っていた4ヶ月間も、今では良い思い出です。