色、いろいろの七十二候

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梅子黄・梅雨を彩る鮮やかな花びら

梅雨のアジサイ
画/いざわ直子
こよみの色
芒種
桑色くわいろ #B79B5B
梅子黄
若紫色わかむらさきいろ #BC64A4

二十四節気は芒種を迎えました。のぎというのはイネ科の植物の種にある突起のようなものです。この芒の種をく頃です。新暦の今は、稲の種蒔きはもっと早い時期に行われています。地域にもよりますが、今ごろは田植えまっただなか、というところもあるでしょう。少なくなったとはいえ、日本全国どこに行っても水田があります。水田の様子は、地域の季節や文化の違いを端的に表していて、旅の楽しみの一つでもあります。

今回のテーマは、梅雨どきに咲く紫陽花あじさいです。
紫陽花の英名はHydrangea(ハイドランジア)、水を意味する「hydro」を名に冠した、やはり水の似合う花です。

紫陽花の花は、小さな花が集まって一つの大きなかたまりになっています。
2012年、大飯原発の再稼働に反対し、官邸前に集まり抗議する活動が盛んになり「あじさい革命」と呼ばれるようになりました。

この抗議行動は、当初ネットで呼びかけられ、徐々に人数を増やして行きましたが、大手マスメディアがそれを報じず、それでも大きなムーブメントになり、当時の野田首相が「大きな音だね」といったことでさらに抗議行動に火がつきました。

定時集合、定時解散、組織のプラカードは禁止などといった、従来のデモとは一風変わったこの抗議行動は、その後代表者が野田首相と会談しました。その後発表された「革新的エネルギー・環境戦略」には、国民的議論を踏まえ「原発に依存しない社会の一日も早い実現」「グリーンエネルギー革命の実現」「エネルギーの安定供給」の三つの柱が掲げられ、「2030年代に原発ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」とも明記されました。
これに経済界は反発し、結果としてエネルギー政策の閣議決定には原発ゼロは盛り込まれませんでしたが、少なくとも抗議の声は届いたといっていいはずでした。

脱原発という名を掲げた政局を経て、今の政権は原発推進に熱心です。
2012年6月4日には、2013年版の環境白書が閣議決定されました。
その年は、「最大の環境問題」として位置づけられていた原発利用のリスクについての記載がなくなったと報じられています。
環境省では、原子力規制委員会の報告書にそのテーマを譲った、と説明しているようですが、原発再稼働を目指す政府の姿勢を反映したものといえます。

If It Can Happen, It Will.という言葉があります。
「起こる可能性のあることは、いつか実際に起こる」という、マーフィーの法則です。

マーフィーの法則、というと、なにか軽いジョークのようなイメージがあるかもしれませんが、もともとは米空軍基地のエンジニアが、失敗は必ず起きるという戒めとして使い始めたと言われています。

福島で起こったことが、あるいは別の大きな事故が、他の原発で起こらないと誰が言えるのでしょうか。福島の事故収束も、地域社会の復興も道半ばです。

喉元すぎれば熱さを忘れる、と言われる国民性(むしろ最近では喉元を過ぎる前に?)のなか、政権が変わった現在も、この抗議行動は続けられています。

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2013年06月05日の過去記事より再掲載)