住まいのグラフィティ
Vol.7 AKANE HOUSE
村松篤設計事務所
神社脇の坂道は急勾配で、息を切らしながら登っていくと、とても窮屈そうな住宅地が展開されていた。そんなひしめき合う住宅の中にあって、AKANE HOUSEは悠然と佇んでいた。家の前には植栽が設けられ、1台分の駐車スペースまで有る。確か敷地は20坪のはずだ。
延べ床面積18坪の小さな家は、玄関から各部屋が階段によってスムーズに繋がれてゆとりすら感じ、吹抜が光や風の流れをもたらしていた。
リビングに案内され、ソファーに座る。目の前に広がる神社の木々の緑がまぶしかった。8月の暑さもたけなわというのに、建主は窓を開放しただけで平気な顔をしていた。「この夏はまだ1回しかエアコンを付けていないのよ」建替え前の家の夏は暑く廊下で寝たこともあったというが、建主はこの暮らしの変化を享受しているようだ。
村松利枝子
表題写真/神社の森から見る。茜色の外壁と連続した大きな出窓が特徴の外観

道路からの正面外観。植栽がまちに潤いを与える

玄関からダイニングキッチンを見る。窓の向うに神社の木々の緑が目に飛び込む
- 居間を見る。小上がりの畳は愛猫の居場所
- 階段踊り場を見る。採光と通風を兼ねた高窓が見える

寝室からダイニングキッチンを見下ろす。右手カウンターは愛猫と会話するためのキャットウォーク