F・LL・ライトに学ぶ
ヴィンテージな家づくり

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大きなユーソニアン・ハウス
Mossberg邸 (1948)

フランク・ロイド・ライト大きなユーソニアン・ハウスMossberg邸(1948年)

 

South Bend郊外の住宅街にある大きな家です。この地域は2階建てにしなくてはいけない協定があったため、娘さんの寝室を2階に設けキッチンを2層分吹き抜けにしてボリュームを増やし、道路側の外観は2階建て風になっています。
フランク・ロイド・ライト作の透視図

建設時にライトがプレゼントした庭側の透視図。


ライトは日本画の構図をパースに取り入れたといわれています。Mossberg夫人が大切にしまってあったパースをわざわざ持ち出して見せてくれました。庭に向かって大きく開くリビングからL字型にウイングが伸びる典型的なユーソニアン・ハウスの平面構成です。
フランクロイドライト設計Mossberg邸の外観
私が訪ねた時は築50年ほど経過していましたが、メンテナンスが行き届いていて築年数を全く感じさせませんでした。施工もとても丁寧な仕事です。木製建具も全く痛んでいません。どんな塗装をしているのでしょう。
フランクロイドライトモスバーグ邸のリビング
使われているモジュールは6フィート。日本のモジュール6尺(1間)とほぼ同じです。リビングはスキップフロアになっていて35.5坪もあります、グランドピアノが小さく見える広さです。妻側の窓割りは目白の自由学園(1923年)と似た構成になっています。
フランクロイドライト設計モスバーク邸のこじんまりした寝室
リビングの裏側にあるご夫婦の寝室。大邸宅にしてはこじんまりした普通サイズです。収納もしっかり造り付けてありました。
落水荘の川に降りる階段と同じ吊り階段です。踊り場に日本画が掛けてありました。この絵の経緯は知りませんが、ライトは自分で収集した掛け軸や浮世絵を施主にプレゼントすることも度々だったと聞いています。
間仕切り壁はドアと同じ厚さ、ユーソニアン住宅の定番ディテールです。

著者について

半田雅俊

半田雅俊はんだ・まさとし
1950年生まれ。1973年工学院大学建築学科卒業。遠藤楽建築創作所勤務の後、1981~83年 F.LL.ライトの建築学校・設計事務所『タリアセン』在籍。ライトの住宅100棟以上を訪ね歩く。1983年半田雅俊設計事務所設立。NPO法人家づくりの会理事 。少ないエネルギーで快適に暮らせる、地域の気候風土にあった家「びおハウスH」開発者。