びおの珠玉記事

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ハレの日の旬・ケの日の旬
秋の味覚・キノコ

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから珠玉記事を再掲載しました。
(2009年09月28日の過去記事より再掲載)

秋の旬キノコ

びおの珠玉記事第18回で「秋の野菜」を取りあげました。

秋の味覚をラインナップすると、どうしてもキノコが多くなりました。
野菜売り場で売られていますので「秋の野菜・果物」に取りあげていますが、キノコは野菜でも果物でもありません。それどころか、実は植物でもありません。ではキノコは何の仲間なのでしょうか?

植物は生産者、キノコは消費者

キノコは「菌類」に分類されています。同じ仲間にはカビや酵母などがあげられます。
見た目からはカビよりも植物に近いように思えますが、決定的に違うのは、成長に必要な栄養の取り方です。
植物が、光合成により無機物から栄養を作り出すのに対して、キノコは別の動植物等の有機物を栄養源にして成長します。

きのこと大根

キノコは菌類、野菜は植物。全然違う生物です。


食物連鎖上では、植物は生産者ですが、キノコは消費者・分解者なのです。
木は、化学的にはセルロースとリグニンが主要な構成分です。ちょっと乱暴にいうと、繊維素材のセルロースが、リグニンを接着剤として固められて成り立っているイメージです。
※余談ですが、木材加工時に出る鉋屑などをあつめて燃料用のペレットをつくる際、このリグニンを用いることで接着剤を添加することなく固着・整形が可能です。
バイオマス 銘建工業株式会社
http://www.meikenkogyo.com/product/contents/bs_content3.html

キノコのうち、木を腐らせる性質をもつ種類は木材腐朽菌と呼ばれ、その名の通り木材を腐らせたり、時には生きた樹木を枯れさせてしまうこともあるのですが、一方で貴重な分解者でもあります。
キノコが木材を分解しなければ、森は枯れ木や倒木で溢れてしまいます。
リグニンは複雑な構造を持つ高分子化合物で、分解されにくいのが特徴です。自然界でもリグニンを分解できる生物の種類は少なく、木材腐朽菌は数少ないリグニンの分解者です。
平たくいうと、キノコがなければ、枯れ木や倒木は分解されずにいつまでも残っていて、木材の持つバイオマスエネルギーは、循環することなくそのままになってしまうということになってしまいます。

倒木に生えたきのこ

キノコが木材を分解しなければ、森は枯れ木や倒木で溢れてしまいます。

マツタケは何故高いのか

秋の味覚としてキノコを取りあげましたが、店頭には一年中さまざまなキノコがならんでいます。そう、店頭で売られているキノコの多くは、「養殖」もの。マツタケのように人工栽培が難しいものは、秋だけ店頭に並びます。他のキノコも、本来は秋が旬のものが多いのですが、人工栽培により、一年中食卓にのぼるようになりました。

さて、マツタケというと高級食品の代名詞のようになっています。前述のように人工栽培が難しいことが原因の一つですが、価格が高くなる理由は、マツタケの生息域を確保することが大変だからです。
マツタケは、「松茸」と書き、主にアカマツに発生します。

アカマツは、かつては薪として利用されていたため、アカマツ林には人の手が入り、そしてアカマツの生育も保たれるという循環がありました。しかしエネルギー源が石油にシフトするにつれ、アカマツ林は放置され、マツタケの育ちにくい環境となり、結果マツタケの生育場所が激減したことがあげられます。

マツタケ

高級キノコの代名詞・マツタケ。人工栽培できないマツタケは、その生育環境を保つこともコストになっています。


キノコは生物多様性を支える重要な役割を担っています。そのキノコさえ姿を消しつつあるということは、重く受け止めなければならない事実です。
※キノコの全てが木材腐朽菌ではありません。木と共生する「菌根性菌」や、虫を栄養素とする「冬虫夏草」など、さまざまな種類があります。

キノコを食べる

さて、現在一般の店頭にならぶキノコの多くが、「菌床栽培」と呼ばれる人工栽培です。残念ながらこれらのキノコをいくら食べても生物多様性には寄与しそうもありませんが、それはそれとして、キノコが食品としてとても優秀なのは事実です。

種類によって異なりますが、成分の約90%が水分で、食物繊維が多く、脂質・炭水化物が少ないため、低カロリーです。ビタミンBやカリウムを多く含み、抗酸化作用にも優れると言われています。
そして何より、料理の幅が広い! 焼く、煮る、炒める、揚げる…肉とあわせても、魚とあわせても、キノコ同士でもおいしくいただけます。

シイタケ餃子

餃子というと、ニンニクたっぷり、油ギトギト、というイメージが強いかもしれませんが、実は肉・野菜・炭水化物が摂れるバランス食といえます。今回は、ニンニクやニラを使わず、シイタケの香りを楽しむシイタケ餃子を作ってみました。

材料

シイタケ、豚ひき肉、ネギ(青い部分)、白菜、生姜、餃子の皮
塩、胡椒、ごま油

ネギの葉と生姜の千切りを和えておきます(A)。
シイタケ、白菜、生姜はみじん切りにします(B)。

(A)をしぼったものと、(B)にひき肉をまぜあわせ、塩、胡椒で味付けをし、ごま油で香りをつけます。

しいたけ入りの餃子のたね

シイタケ餃子の種


餃子の皮に包みます。一口で食べられる小型の皮がおすすめ。
焼く前の餃子

皮は小型がおすすめ


サラダ油で焼きます。ごま油はタネに入っていますので香りづけには十分。焼き油はサラダ油のほうがすっきり仕上がり、焦げにくいです。
円形に並べて焼く浜松餃子

サラダ油で焼きます。


焼き餃子

できあがり


にんにくやニラは、シイタケの香りと喧嘩しそうでしたので入れませんでした。
ショウガとシイタケの風味が絶品で、いくらでも食べられそうです。

椎茸のねぎ塩ダレ蒸し

椎茸に何かをのせて焼く、というのはきのこ料理の定番のひとつで、いろいろなレシピがありますが、
これもその1つです。

「椎茸のねぎ塩ダレ蒸し」、こちらのレシピに沿ってつくってみました。
いろいろなブログで「おいしい!」と取り上げられている人気レシピのようで、楽しみです。

ooLife *オーガニックレシピ手帖* / 椎茸のねぎ塩ダレ蒸し
http://oola.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-4302.html

買ってきたばかりの椎茸。大振りで、おいしそうです。

肉厚なしいたけ

勝ってきたばかりのシイタケ


かさが開き切っておらず、かさの裏側に白い膜が張っているのは、新鮮な証拠。(右上の椎茸は、かさが大分開いています。)
新鮮なしいたけ

かさが開ききっていないのは新鮮な証拠


(1)椎茸の軸を取ります。
(取った軸は、何か他の料理に使うとよいでしょう。)
(2)白ねぎの白い部分をみじん切りにします。
(3)椎茸の上にのせる具を作ります。
みじん切りにした白ねぎ・すりおろしたにんにく・ごま油・レモン汁・塩・ブラックペッパーを混ぜ合わせます。
レシピでは、塩の分量は「小さじ1/4」となっていますが、少し多めに入れました。
ネギのみじん切り

具材


(4)具を椎茸のかさにのせます。
しいたけのねぎ詰めをフライパンに並べる

フライパンに並べます


(5)フライパンにごま油を熱し、椎茸を入れて、ふたをして蒸し焼きにします。
レシピでは「3分」となっていますが、今回は5分くらい蒸し焼きにしました。
上にのせたねぎか、椎茸のエキスでしょうか、わりと多めの水分が出ました。
完成した椎茸のねぎ塩ダレ蒸し

できあがり


さて、お味の方は?
蒸し焼きにした時にもエキスが出ましたが、とてもジューシーで、椎茸を噛むと、じゅわっとエキスが飛び出します。椎茸の味と香りに、ねぎの風味とにんにくの風味が渾然一体となって、口の中に広がります。レモン汁も味のワンポイントになっていて、さわやかさをプラスしているように思います。そして、椎茸の歯ごたえも活きています。
おいしかったです!

シイチキンタケ

こちらも上乗せレシピです。簡単で、お弁当にもおつまみにもピッタリです。シーチキンとシイタケを使いますが、もちろんシーチキン(商品名)ではなくて、一般のツナ缶でOKです。

シイタケのかさにシーチキンを盛ります。シーチキンが多すぎるとシイタケの味が負けるのと、盛りつけるときに大変なので、少なめに。

しいたけにツナを詰めて

シイタケをならべてシーチキンを乗せます


オーブントースターで数分加熱してできあがり。
シイチキンタケの完成

簡単にできあがり


シーチキンから出た油がシイタケに適度に染み込んで、簡単な割にウマイです! お好みで醤油をかけて。

じゃがきのこグラタン

きのこと、これまた旬のじゃがいもを使ったグラタンです。
こちらのレシピに沿って作ってみました。

メシレポ / じゃがしめじグラタン
http://meshirepo.tricolorebox.com/recipe/2009/05/jagashimejigratin.html

こちらの「じゃがしめじグラタン」のレシピではしめじを使っていますが、今回はさらにホワイトマッシュルームも加えてみました。題して、「じゃがきのこグラタン」。

こちらのレシピでは、具材を炒めた同じフライパンの中でホワイトソースを作るので、手軽にグラタンを作れます。他の具材でグラタンを作る際にも、応用できそうです。

レシピでは1人分の材料になっていますが、今回は3人分作ったため、多めの分量になりました。
具材は、次の分量を使いました。(ホワイトソースの分量については、後述します。)

材料

・じゃがいも  小4個
・しめじ    1ふさ(1パック)
・ホワイトマッシュルーム  大6個(1パック)
・玉ねぎ    大1/2個
・ベーコン   3枚

今回使ったしめじとホワイトマッシュルームです。
しめじは馴染み深い食材ですが、香りが高いのが印象的です。
ホワイトマッシュルームは、香りはそれほどしませんでしたが、なかなかの存在感です。表面はすべすべしています。マッシュルームには主にホワイト種とブラウン種がありますが、ブラウンマッシュルームの方が味も香りも濃厚だと言われています。

切る前のしめじとマッシュルーム

しめじとマッシュルーム


(1)材料を切ります。
じゃがいもは皮をむいて、5mmくらいの厚さにスライスしてから、千切りにします。その後、さっと水で洗い、水気を切っておきます。
玉ねぎは薄くスライスします。
ベーコンは1cm幅くらいに切ります。
しめじは石突きの部分を取り、手でほぐします。
ホワイトマッシュルームは、さっと洗い、1/4に切りました。
バラしたしめじとカットしたマッシュルーム

下ごしらえ


(2)具材を炒めます。
フライパンを熱し、油を少し入れて、ベーコンを炒めます。
ベーコンから油が出てきたら、じゃがいもを加えて炒めます。
じゃがいもが透き通ってきたら、玉ねぎ・しめじ・マッシュルームを入れて炒めます。
全て火が通るまで炒め、塩こしょうで軽く味をつけておきます。

(3)同じフライパンで、そのまま(具材も入れたまま)、ホワイトソースを作ります。
バターを加えて、全体になじませます。
そこへ小麦粉をまぶしいれて、すばやく炒めます。
小麦粉がなじんだら、牛乳を少しずつ加えてのばします。牛乳の量は、とろみの好みに合わせて加減します。

ホワイトソースについては、3人分で、次の分量を使いました。
・バター  20g … 控えめにしました(レシピの分量の2/3)
・小麦粉  大さじ4 … 大さじ1、追加しました
・牛乳   360cc … レシピの分量の2/3

バターは、カロリーが気になったので、控えめにしました。レシピの分量の2/3に当たりますが、十分バターの風味が活きていたように思います。
小麦粉は、当初、レシピどおり大さじ3を使いました。その後牛乳360cc(レシピの分量の2/3)を入れたところ、ゆるいように感じたので、大さじ1、追加しました。
それでいい具合になったので、牛乳はそれ以上追加しませんでした。

とろみの具合については各自の好みがあると思いますので、レシピの分量を基本にしつつ、実際に様子を見ながら、分量を調節するとよいと思います。

(4)好みのとろみになったら、コンソメと塩こしょうで味を調えます。

きのこのホワイトソース

ホワイトソース


(5)グラタン皿に移し、好みでチーズ、パン粉などをのせます。
今回は、乾燥パセリも加えてみました。
焼く前のじゃがきのこグラタン

チーズ・パン粉・パセリを加えました


(6)オーブントースターで、焼き色がつくまで焼きます。
既に具材には火を通してあるので、チーズが溶けて、焼き色がつけばOKです。短い時間で焼き上がります。
完成したジャガきのこグラタン

きのこグラタンできあがりです。


さて、お味の方は?
じゃがいもはホクホク。
しめじは、高い香りがそのまま活きていて、風味も強く、シコシコとした歯ごたえです。
ホワイトマッシュルームは、調理前、それほど香りがしなかったので意外でしたが、かなりしっかりとした風味がありました。そして、やはりいい歯ごたえ。
これらが、クリーミーなホワイトソースと絶妙に調和しています。
おいしかったです!