F・LL・ライトに学ぶ
ヴィンテージな家づくり
第13回
湾曲したバリアーフリー住宅
Laurent邸(1949)
けがのため車いすを余儀なくされたLaurent氏のためのすまいです。プランはラグビーボールのような同心円形を合わせた湾曲した中庭を抱き込む形をしています。中庭に面した細長い居間と外側の反対向きに湾曲したレンガの手すりに囲まれたテラスを車いすでぐるっと回れる平面です。
ライトは新しいテーマには新しいパターンを考え出し、定番化して再利用することも度々ありました。このプランも後に数件の家に応用しています。
玄関から中に入ると内側に湾曲した長い開口部が広がっています。室内に居る安心感と戸外のさわやかさを同時に体感することができます。天井高は低いのですが、圧迫感はありません。落ち着きのある実に気持ちの良い空間です。
廊下のような居間は長いソファーが中庭に面しています。床から天井までの大きな全面開口部で中庭とつながります。移動するたびに少しずつ見え方が変わりまさに回遊しているような、とても楽しいわくわくする場所です。
テラスの手すり側を歩くと湾曲しているので敷地を広範囲に見下ろすことができます。中庭には日本の小さな石灯籠がおかれていました。
Laurent夫妻は、竣工後もライトやタリアセンのスタッフと長く友人関係にあり、私たち学生の訪問を快く受け入れてくれていました。