色、いろいろの七十二候
第19回
涼風至・うろこ雲
露草色 #38A1DB
薄浅葱 #69C2C7
空には、まだ入道雲がもくもくと湧き出ていて、夏空が続いていますが、もう少ししたら、秋の空が待っています。高い高いところに出来る秋の空を思い浮かべ、涼味を感じていただきたくて、一足早くご紹介することにしました。
秋の空で思い浮かぶのは、さば雲、いわし雲、うろこ雲です。
いずれも高いところにできる巻積雲で、これらの名前は、見た目の様子で表された俗称です。
巻積雲は、正式には、白雲の小さな塊が集まってできる雲で10種類の雲に分類されます。この分類は、1894年にスウェーデンのウプサラで開かれた国際気象会議で決められました。「十種雲形」と呼ばれ、巻雲、巻積雲、巻層雲、高積雲、高層雲、層積雲、層雲、乱層雲、積雲、積乱雲がそれにあたります。巻積雲は、その形によってさらに細かく層状雲、レンズ雲、塔状雲、房状雲に分類されます。しかし、国際式天気図に使用される雲形記号は、十種雲形の中で唯一、巻積雲を表す記号は1種類しかありません。
うろこ雲は、魚の鱗のように、白い斑紋や白い波紋となった美しい雲をいいます。いわし雲やさば雲は、いわしやさばが群れているようなさまをいいます。これらの雲は、低気圧の前面に現れるとされます。低気圧が近づくと、前面に温暖前線があり上層部に暖気が吹き込んできます。そのとき、空気が冷えて出来る雲が、うろこ雲やいわし雲です。これらの雲が現れて雨になる確率は75%くらいといわれます。
砂のように、目の細い雲が天高く流れて行く雲を眺めて、子規は「秋の朝」ではなく、「朝の秋」と詠みました。秋の空を胸いっぱいに感じている、子規その人が伝わってきます。
同じうろこ雲といっても一様ではないことを、この二人の句から知ることができます。あなたのうろこ雲はどんなふうなのか、こころに思い浮かべて、もう少し続く夏の暑さを耐えしのいでください。
うろこ雲は、地震雲ともいわれます。昔から地震の前兆として伝えられていて、同じうろこ状でも、放射状であったり、渦巻き状であったり、直線状であったり、異常な形をしています。
普通の雲は、風や気流に流されて移動するのに対して、地震雲は移動せずに同じ場所に長時間留まります。その期間は、地震発生の2週間くらい前から現れ、直前にも現れるといいます。これらは事後証言であることから、科学的に証明されていませんが、迷信や占いの類とだけはいえないようです。
この一茶のは、地震雲なのでしょうか?
※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2010年08月07日の過去記事より再掲載)