色、いろいろの七十二候
第26回
白露・お月見
素色 #EAE5E3
珊瑚色 #F5B1AA
「スーパームーン」という言葉をたまに聞きます。
月は地球の衛星で、地球を周回しています。この軌道は真円ではありません。そのため、月と地球の距離は変化します。
月は地球から38万キロほど離れていますが、これは平均値で、一番近い時には約36万キロ、一番遠いと約40万キロですから、およそ1割の違いがあります。一番近づいたときの満月を「スーパームーン」と呼び、一番遠いときから1割ほど大きく見えるといわれています。
月の大きさは、比較対象がないとわかりにくくて、地表に近いときは周辺の地上物とくらべるとずいぶん大きく見えますし、登ってしまえば小さく見えます。この差は1割どころではないような気もしますが、実際にはほぼ同じ大きさですから、人間の目というのは、本当に面白いものです。
2014年は8月と9月9日にスーパームーンがありました。そして、その前日、9月8日は十五夜です。
あれ、十五夜は満月ではないのでしょうか。
旧暦は月の満ち欠けを周期にするため、大抵は旧暦8月15日の夜が満月になるはずですが、ずれることがあります。
スーパームーンの原因となる月の軌道が楕円であることが、その一因です。
満月から新月に、新月から満月に変わる周期は、この楕円の影響と、地球と太陽の位置によって変わり、一定ではありません。このため、15日目の夜(十五夜)であっても満月ではない、という現象が起こります。
月にはいろいろなオカルトめいた話題がつきまといます。満月の夜には犯罪率が高いということを聞いたことがあります。狼男やサイヤ人も、満月を見て変身します。満月には、何か人の心を狂わせる何かがあるのでしょうか。
これらをオカルトと笑い飛ばすのは簡単ですが、月が潮の満ち引きを誘っていることは、今となっては周知の事実です。
生まれたばかりの赤ん坊の睡眠のリズムは、一見まちまちのようにみえますが、潮の満ち引きと似た曲線をたどるそうです。
赤ん坊は、やがて太陽光によって体内時計が形成されていき、睡眠も昼と夜に別れていきます。
生物の体内リズムは、太陽由来の概日、概年リズムだけではなく、月に由来する概月リズム、潮の満ち引きに関係する概潮汐リズムなど、その生息環境によってさまざまなものがあります。
睡眠には概月リズムが関係している、とする研究もありますから、満月か、そうでないかで私たちの体で何かが変わることもあるのかもしれません。
お月見は、自分もひとつの生命である、ということを、あらためて感じるいい機会になりそうです。
※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2014年09月08日の過去記事より再掲載)