ちいきのたより

Vol.138  雪が降る土地の知恵と暮らし方 
北海道札幌市 マルワホーム企画

雀始巣(すずめはじめてすくう)
雀が巣をつくりはじめる頃。雀、と聞くとあたたかくなり始める頃の春を連想します。寒さも少しずつやわらいで、春の気配を感じる日も増えてきました。

北海道といえば雪国というイメージが強いでしょうか。わたしが住んでいる札幌市も冬になると氷点下の日が続き、雪が降り積もります。そんな季節、日常に増えてゆくのが雪かきをする時間。

出かける前に玄関まわりを、カーポートがない場所なら車の雪下ろしを行います。
さらさらな雪だと軽く、雨交じりの雪だと重たくなるので雪かきにかかる時間や体への負担も日々異なります。

そんな日々の雪かきにサポート役として活躍する「融雪槽(ゆうせつそう)」とその仕組みについておはなしをしたいと思います。今回の融雪槽は地下水を利用したヒートポンプ式暖房を採用したおうちです。(以下、地下水利用ヒートポンプシステム)この地下水利用ヒートポンプシステムを採用した住宅は、弊社が初めて施工させていただきました。

地下水利用ヒートポンプの床暖

地下水利用ヒートポンプシステムを使った温水は床暖に。
暖房器具のないすっきりとした空間です。

ダイニング

地下水利用ヒートポンプシステムは汲み上げた地下水を地表に埋設した水槽に貯水し、水槽内に固定したコイルから採熱、地中熱ヒートポンプユニットで熱交換をする仕組みになっています。この水槽部分を融雪槽としても活用しているわけですね。
融雪槽を利用した地中ヒートポンプシステムの図
融雪槽として使いたいときには汲み上げポンプの電源を入れてフタを開けたら、後はそのまま雪を放り込みます。雪を入れた直後は水温が下がりますが、地下水は安定している為自然と元の10℃前後まで戻ります。溶ける速さはスコップで少しずつ雪を入れるくらいだと負けてしまうくらい速いので、スノーダンプがおすすめ。

汲み上げポンプの気になるランニングコストはというと、1シーズン5,000~6,000円程。融雪も活用することによって、汲み上げポンプ分の投資を回収できるメリットもあります。環境にも優しく、従来のボイラー式暖房の年間1次エネルギー消費量(約37,000MJ)と比べると消費削減量は約43%になるそうです。


地下水脈までのボーリング工事、汲み上げポンプの設置、電気工事、外構工事…を経て完成されます。

雪の降らない地域では融雪槽の存在すら知られていないのかも?と思うと、自分の中の当たり前が誰かの当たり前とは限らないということにはっとします。
融雪槽は木製カーポートの下に設置しました。ピンコロ石の風合いと馴染んでいますね。
融雪槽の上には木製カーポート
少し話が反れますが、こちらのおうちは明治時代から歴史のある札幌市だけで採掘される「札幌軟石」をお庭に使用しています。札幌軟石は建築建材だけにとどまらず、小物や雑貨など様々なジャンルに活用されている石材です。


以前ちいきのたよりでも札幌軟石について触れたので、気になる方は是非チェックしていただけると嬉しいです!↓

北海道はこれから雪解けの季節。
四季折々の地元の自然に触れながら、季節の移ろいを愉しむ余裕をちょっと持ちながら、一日一日を心豊かに暮らしていきたいです。

田中葉月
ちいきの記者
田中葉月たなか・はづきお米の町 北海道深川市で生まれ育った生粋のどさんこ。今は札幌市の小さな工務店で暮らしのお手伝いをしています。食べることが大好きで、派生して食器集めも好きになりました。
北海道ならではの四季の移ろいや魅力を発信していけるよう、自分らしく毎日を大切に過ごしていきたいです。

 

株式会社マルワホーム企画
(株)マルワホーム企画まるわほーむきかく
北海道札幌市北区北36条西8丁目1-1
TEL:011-707-3111
URL:http://www.maruwa-k.co.jp
私たちは「世界に一つだけの家」を求めるお客様から依頼を請け文字通り、オリジナルの木造注文住宅を札幌中心に手掛けています。だからこそ施工エリアは本社のある札幌市から車で60分以内。
年間に手掛けるのは多くとも新築20棟まで。家を建てたあとも、いつでも駆けつけられるように。こだわり抜いた家づくりを実現するために、制限を設けています。創業以来45年間、時を越えて愛せる家づくりを今までもこれからも真面目に行っています。
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