びおの珠玉記事
第122回
ビタミンUたっぷり 春キャベツ
※リニューアルする前の住まいマガジンびおから珠玉記事を再掲載しました。
(2009年04月05日の過去記事より再掲載)
キャベツは世界中で古くから栽培されてきた野菜です。古代ギリシャや古代ローマにおいても、薬用や健康食として食べられていました。現在でも世界各国で食べられており、その中でも、日本の消費量は世界有数だと言われます。
日本で本格的な栽培が始まったのは明治時代で、現在では作付面積、収穫量で上位を占める、人気のある野菜です。
くせがなくほのかな甘みがあり、歯ごたえもよく、また栄養価も高く、そして生で食べたり、炒めたり、煮たり、漬けたり…とさまざまな方法で調理できるのが、人気の理由ではないでしょうか。
キャベツには季節に合わせたいろいろな品種があり、一年を通して出回っていますが、大きく次の3つに分けることができます。
- 春キャベツ(新キャベツ)
- 夏秋キャベツ(高原キャベツ)
- 冬キャベツ
このうち、春キャベツが、今まさに旬です。
一年を通して出回っており最もポピュラーな冬キャベツに比べて、春キャベツは外葉の緑が濃く、巻きがゆるく、葉がやわらかくてみずみずしいのが特徴です。
キャベツの選び方、食べ方
このような春キャベツは、何といっても生でムシャムシャ食べるのがおすすめです。みずみずしさ、シャキシャキした歯ごたえ、野菜の自然の甘みを楽しむことができます。千切りにしてサラダや付け合せに、また、浅漬けや甘酢漬けなどにしてもよいですね。
生で食べるのが最適ですが、強火でさっと炒めてもおいしいです。
春キャベツを選ぶ時には、葉の緑色が濃く、ふわっと巻いていて、大きさの割りに軽いもの、つやと張りがあるもの、芯の切り口がきれいで割れていないものを選びましょう。
キャベツの栄養価
さて、キャベツは栄養価が高いと言われますが、どのような栄養素が含まれているのでしょうか。
ビタミンでは、ビタミンA、B1、B2、C、E、K、ナイアシンなど、ほとんどのビタミン類が含まれています。特にビタミンCは豊富に含まれており、大きめの葉を2~3枚食べれば、1日に必要なビタミンCを摂取することができると言われています。この他、ビタミンUあるいはキャべジンと呼ばれている「ビタミン様物質」(正確にはビタミンではないが、体内でビタミンと同じような働きをする物質)も含まれています。
また、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄など、多くのミネラル分も含まれています。
栄養価が高いと言われるのも納得です。
このようにキャベツには豊富な栄養素が含まれていますが、この中でも特徴的なのは、ビタミンUです。ビタミンUはキャベツから発見されたので、「キャべジン」とも呼ばれています。
ビタミンUには、胃腸の粘膜の新陳代謝を活発にし、粘膜を保護し、傷ついた粘膜を修復する働きがあります。また、過剰な胃酸の分泌を抑える働きも知られています。これらの働きにより、胃腸の炎症、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を予防、改善します。
このため、ビタミンUは医薬品として治療にも用いられていますし、ビタミンUを主成分とする胃腸薬も市販されています。
ビタミンUには水に溶けやすく、熱に弱い(加熱すると減少する)という性質があります。このため、水にさらさない方がよいですし、加熱する場合も短時間にするのがよいでしょう。
生で食べると、ビタミンUを最も効率よく摂取することができます。加熱調理する場合は、煮てスープなどにして、煮汁ごと食べるとよいでしょう。
春キャベツは生で食べるのがおいしいですから、ビタミンUの摂取にはもってこいなのです。