フランスにおけるDIY
ところかわれば
| 森弘子
今回はフランスにおけるDIYについてのレポートです。日本では近年DIYが注目されていますが、フランスではDIYという言葉が浸透する前から、自らの手でつくったり直したりすることが”bricolage(ブリコラージュ)”として生活に根付いています。bricolageはあり合わせの道具や材料で物を作ることをさし、転じて持ち合わせているもので現状を切り抜けることを意味します。ものづくりの分野だけでなく、視覚芸術や音楽、人類学や教育学などにおいても用いられる用語です。
今回は、パリの街中でもたまに見かけるLeroy Merlin(ルロワ メルラン) というDIYショップのパリの環状線から一歩外に出たIvry-Sur-Seine(イヴリーシューセイヌ)という市外の大型店舗に行ってきました。ちなみにパリ市(いわゆるパリ)は環状の自動車道に囲まれていて、その内部が20の区に分かれています。この店舗はパリ市内外からバスやトラムでアクセス可能ですが、基本的に車で来訪する人が多いようです。
日本のホームセンターと同様に、釘やネジといった基本的な材料から、照明、便器、ペンキ、大型の工具、作業着までありとあらゆるものが取り揃えられています。店の端には木材とガラスの加工ができるところがあり、自分で材料をピックアップして持ち込み加工をしてもらいます。
パリ市内からほど近いにもかかわらず、店舗には窓サッシやガラスドアも売られていました。郊外の店舗では、既製品の階段なども売っており、一般市民が自らそれらを購入して自分でリノベーションすることもあるようです。
店の一角には割と広く書籍コーナーとキッズコーナー、DIY教室のスペースが取られていました。特に書籍コーナーは内容も充実していて、水回りの修繕の仕方の本から植栽の植え方、さらには一軒丸ごと建てる小屋のハウツー本もありました。キッズコーナーでは子供たちが親の買い物を待つ間に遊べるだけでなく、ものづくりを体験できるワークショッププログラムも定期的に開催されています。
今回訪れたのは一般向けのDIYショップですが、フランスには他にもPoint.P(ポワンペー)という土木建材中心のショップや、LA PLATFORME DU BATIMENTというプロしか行くことのできない建材店があります。LA PLATFORMEは店舗に入るためのカードを請求する事前登録が必要で、SIRET番号というフランスの事業所ごとに付与されている企業番号を入力する必要があります。この番号で建設関係者かどうかが識別されるため、そもそもプロしか来店することができない仕組みになっています。ちなみにLA PLATFORMEでは来店するプロの人たちに大きく『100% PRO』と書かれたTシャツが配られるそうで、我が家に修理に来た工事業者の人もそのTシャツを着ていました。パリの街中でもたまに見かけますので、旅行の際にも街角で見つけることができるかもしれませんね。上記の店名をクリックするとホームページを見ることができるので、ネット上でフランスのDIYショップを覗いてみてはいかがでしょうか?
日本のホームセンターとの類似点も多く見かけられましたが、日本のホームセンターのような買った商品の取り付けをお願いできるカスタマーサービスはあまり見られず、パリ近郊の店舗にもかかわらずガラスの加工ができたり、窓が売られているなど、フランスでは自らの手でつくる、なおす、ということがより浸透しているという印象を受けました。