パリのDIYコワーキングスペース
ところかわれば
| 森弘子
このトピックスでもたびたびご紹介しているフランスのDIY事情。フランスでは自分でこわれたものを直したりすることは、ブリコラージュとしてDIYという名前が浸透する前から生活の一部に根付いています。とはいえ、狭いフランスのアパルトマンではなかなか本格的な工具は使えません。近年パリでは気軽に使える「町の工房」として、DIYコワーキングスペースが増えています。今回は、その中でもちょっと味のある作業場のような雰囲気が特徴的な、「L’étqblisienne」(レタブリシエンヌ)をご紹介します。
L’étqblisienneがあるのは、パリ東部のNationの駅から少し歩いたところにある、配管工・屋根職人の元工房を再利用した一棟の建物。地上階は天井が高く明るい空間で、エントランスにはリサイクルの商品がところせましと置かれています。このリサイクル品たちが味のあるこのコワーキングスペースの雰囲気をつくっていて、ブロカント(蚤の市)に来たよう。
地上階には他にも図書室があり、休憩もできます。地階にはレンタルしてDIY作業ができる作業台が4つある工房、テーブルソー(テーブルに丸ノコが設置され大型の木工片などを切断する機器)がある部屋、材料置き場などがあります。
利用方法は、年会費15€を払い、地下階の作業台を時間制で予約します。1時間7€、半日(4時間)だと24€、全日(8時間)だと 39€、とまとまった時間を予約すると割引があります。基本的な工具と電気工具は利用料金に含まれ、自由に使うことができます。テーブルソーは利用した経験があるか、L’étqblisienneが主催するコースで使い方を学んだ後であれば利用できます。 3Dプリンターもありますが、別途料金が発生します。
何かつくってみたい、今持っているものを直したい、とはいえいきなり門を叩いて使いはじめるにはハードルが高い、という人にも安心。L’étqblisienneではほぼ毎日いろんなコースが開催されています。木工の基礎の基礎を学べる2.5時間のコース (49€)から、タイルをつくるコース、セメントと樹脂でランプをつくるコースまで。現在コースは主にフランス語のみですが、需要があれば英語のコースも増やしていくかも?とのことでした。
先日英語の初めてのコースが開催されるとのことで、木工の基礎を学ぶ2.5時間のコースに参加して来ました。先生はフランス人の家具職人。地階の作業台がある木工室でのレッスンでした。まずは簡単な工具の説明から。ヨーロッパで使われるノコギリと日本のノコギリの違いを実践しながら教えてくれました。職人さんとしては細かく作業ができ切断面が綺麗に仕上がる日本のノコギリを愛用しているそう。ちなみに下の写真右に写っている日本製のノコギリは受付で購入することができるそうです。続いて初心者でも簡単にできる継ぎ手の方法。継ぎ手の方法を知っていることで、二つのものを組み合わせてものを組み立てることができるようになり、つくれるものの幅が広がります。他にもちょっとした家具を直すのに便利な電気工具の使い方を安全なメンテナンス方法と合わせて教えてくれました。
味のある雰囲気でスタッフも気さくな人たちばかりで、近所の職人さんの工房を間借りしているような気分になります。ちなみに不要になった家具やものを地上階のリサイクルショップに持っていくと地階の作業台の利用時間と交換できる仕組みになっているそう。フランスらしい循環する良いしくみです。また、コースはプレゼントにもすることができるそう。誕生日や父母の日などによろこばれそうです。見学は自由なので、パリに来た際には足を伸ばしてフランスのDIYの雰囲気を味わうのもよいかもしれません。
L’étqblisienne https://www.letablisienne.com/en/
88 Boulevard de Picpus, Paris 75012
Metro Nation, lines 1, 2, 6, 9 or RER A
Metro Picpus, ligne 6
営業時間 毎日10時〜19時(不定休)