我輩は歌丸である。
第31回
ぴっちがおうちにやってきた!
今回の主役は連載第3回目に登場した実家猫の『 ぴっち 』です。
うちのお庭に遊びに来る大きな体で鈍臭い「まぁちゃん」と華奢で美しい「クロ」の子供です。
まぁちゃんは白にキジ柄のブチが入ったハチワレ、クロは名前の通り真っ黒でした。
2匹の子供はまさに足して2で割ったような柄で白黒のハチワレでした。
クリエイティブ精神皆無の神様がデザインした柄でこの世に生を受けたのです。
やっつけ仕事の様な黒い毛にうっすら浮かぶキジ柄がなんとも言えません。
ある日、庭でミィミィと鳴き声がしました。数日後、姿を現したのは「こねこのぴっち」※1 にそっくりな子猫(オス)ちゃん!
警戒心の強いクロ(母)でしたが徐々に我が子を連れて庭でくつろぐ様になりました。
そしてまぁちゃん(父)は息子の成長を付かず離れずで見守り続けました。
可愛くて仕方ないのは人間だって同じです。
クロがいない隙を見計らってうちに連れ込みコッソリ愛でる事を続けました。
まあちゃんが近づいてもクロが怒らなくなり、家族3匹で団子になる事が増えました。
オス猫が子育てに参加するのは非常に珍しい事なんだそうです。
美人妻を持ち育児にも参加するまぁちゃん格好良い!
幸せな日々を過ごしていた子猫ちゃんですが、数年後両親ともこの世を去り正式に家猫になりました。
付けた名前はもちろん「ぴっち」です!
へぇ。ぴっちの生い立ちは幸せだったんだねぇ。僕はさ、西川口駅の隅っこで1人震えていた所を保護されたんだよ。
お父さんの顔もお母さんの温もりも覚えてないのよ!
そうだよね。大変だったよね。でもさ、毛布に包まれてぬくぬくしながら言うと悲壮感ゼロなんですけど‥‥
春が来てもまだまだ寒い日があるのよ!ぬくぬくに甘えてもいいじゃない!
この毛布SALE品でしょ!高級毛布買ってよぉ!もっと僕を甘やかしてよぉぉ!
はぁぁ‥うるさい猫だこと‥。ぴっちはこんなに横柄じゃなかったなぁ。次回はどの猫ちゃんのお話しましょう!それはまた別のお話。
※1 : 「こねこのぴっち」白黒ハチワレのぴっちが活躍する絵本。
文・絵:ハンス・フィッシャー / 訳: 石井桃子
文・絵:ハンス・フィッシャー / 訳: 石井桃子