3度目のconfinement

ところかわれば

森弘子

パリは現在3度目のconfinement(コンフィヌモン)、いわゆるロックダウンの真最中です。パリを含むイル・ド・フランス県は2020年12月中旬の2回目のロックダウン終了時からすでに適用されていた夜間外出制限に加え、3月20日より日中の移動も規制される外出制限措置が実施されることになりました。3月上旬より常に2万人台を維持していた感染者数も増加の傾向が見えはじめ、3月の中旬には週平均で感染者数が3万人に達し、ついにフランス政府が“取りうる最後の手段”と言っていた再々外出制限が決定されました。

とはいえ、今回は1回目、2回目のロックダウンよりもはるかに規制のゆるいもので、自宅から10km圏内であれば証明書なしで時間制限もなく移動が可能です。1回目のロックダウンの移動は1km圏内に限り1日1時間の運動で他は生活必需品の買い物のための外出であれば可能という条件と比べると、今回は段違いにゆるい規制であることがわかります。変わらない点としては、レストラン・カフェ(テイクアウトは可能)や小型店舗を含め必需品の販売でない店舗は閉鎖、劇場や美術館は11月の2回目の外出制限から引き続き閉鎖されています。

他方で、暖かい季節となってきたこともあり、屋外での活動に関しては、規制はゆるく、公園は開かれており、屋外では6名までの集会が可能なほか、曜日ごとに開催される屋外マルシェや蚤の市も開催が許可されています。

パリ市南部のVanvesヴァンブで毎週土・日曜に開催されている蚤の市 3回目のロックダウン開始時は休止していたが、翌週末には再開 通常時は観光客が多いが、現在は地元客が多くそこまで混雑していない 屋外で換気は問題ないものの、消毒用アルコールジェルを置いている店舗は稀で不安の残る運営 写真は4月3日

パリは3月末急にあたたかくなり、最高気温が24度になる日があり春の訪れを感じ、多くの人が公園やセーヌ河岸に集まりました。屋外では感染リスクが低いとはいえ、ビールなどを飲みながら春の陽気を楽しむ人が溢れ、ついに政府は公道でのアルコール摂取を禁止しました。

この日は一週間前のあたたかい陽気とうってかわって少し寒いながらも快晴で、セーヌ河岸には等間隔に人が集まっていた 屋外では6人以下の集会が可能 左手はチュイルリー公園 奥にルーブル美術館の一角が見える

さらには、感染者数がついに一日4万人を常に超えた週の3月31日、政府は“最後の手段”の中でも使っていなかったカード、“学校の閉鎖”を決定しました。これは我が家を含め子どもを持つ家庭にとって寝耳に水の出来事でした。政府は繰り返し「学校は子どもの勉学の進捗を妨げること、孤立を進めてしまうこと、保護者が仕事をすることができなくなってしまうことから、可能な限り避ける」と述べており、2月の感染者数が増加に転じたタイミングでも学校の閉鎖が噂されましたが、結局実施されませんでした。「政府は何とかして学校は閉鎖しないに違いない」と思っていたところ、突如今回一年ぶりに閉鎖となってしまいました。予定では4月5日から3週間、もともとイースターの休暇で1〜2週間の学校休みとなる時期に合わせての閉鎖です。

変異種の蔓延などで落ち着きを見せないフランスのコロナ禍も、ワクチンの摂取が進み始めており、少しだけ解決の糸口が見えているようにも感じます。3月31日時点で、1回目の接種を受けた人数は850万人、2回目の接種を受けた人数は300万人を超えました。政府発表では、4月中旬以降に60歳から70歳、5月中旬以降50歳から60歳の人を対象とした1回目の予約受付を開始する予定で、6月中旬以降50歳未満のすべての人に対し予約受付を開始とのことで、今後夏の終わりまでに、18歳以上のすべてのフランス人がワクチン接種を受けられるようにするとのことです。

フランス政府のサイトに掲載されている、ワクチン接種の早見表 年齢、持病などの条件から、現状アストラゼネカ社製またはファイザー・モデルナ社製のワクチンが摂取できるかがわかる (出典 https://www.gouvernement.fr/info-coronavirus/vaccins )

全国的なワクチン接種が進んでいくことを念頭に置いてか、政府は5月中旬以降、文化施設を厳格なルールの下で再開し、条件付きでテラスでの営業を許可予定、5月中旬から夏にかけての、文化・スポーツ・レジャー関連施設、レストランの段階的な再開に関するスケジュールを計画しているなど、明るい話題も聞こえてきました。

夏にかけて季節も良くなる中、ワクチン接種等による感染の押さえ込みが順調に進めば、街のカフェに人が集い、美術館や観光施設が再開し、華やかなパリが戻ってくるのもそう遠くないと感じました。