我輩は歌丸である。

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はたらく車に恋しちゃった僕

前回のお話では歌丸の大冒険を書きましたが、今回はその続きになります。

大冒険をして無事帰還した歌丸の様子が少し変わった気がしました。

歌丸はお外をじっくり見るタイプではなかったのに、勝手口の窓から、リビングの窓から、暇さえあればお外を眺める様になったのです。

お外を見つめる歌丸

お外ばかり見ている歌丸


きっとまた冒険に行きたいのだろうと思っていましたが視線の先にはいつも重機がいる事に気が付きました。

昼間は豪快に動く重機を見つめ、夜はひっそりと佇む重機を見つめています。

その姿はなんだか艶やかで切ないのです。歌丸?まさか恋していないかい?

重機を操る職人さんの腕が良かったのでしょう。まるで生き物の様に動く重機に興味を持つのはわかります。しかし重機を見つめているその目は観察をする目ではありません。

明らかに恋焦がれた目をしているのです!

物言いたげな振り向き歌丸

恋煩(こいわずら)いな歌丸


変化のなかった毎日が急に輝きだしたのでしょう!歌丸は暇さえあれば窓際へ行くようになりました。

ストーカーまがいの行動が日常になったある日、いつもは遠くで作業していた重機が窓にかなり近い所まで来ました!

必死な歌丸の後頭部

重機に夢中な歌丸


これは興奮してしまいますね!冷静を装いジーっと見つめているその後頭部の可愛い事!

数日後、工事は無事終了し重機は去っていきました。別れが突然なのは世の常なのです。さよならを告げる事さえできなかった歌丸の淡い恋は儚く散ったのでした。

しばらくは外を眺める日が続きましたがだんだん減っていきました。

そんなある日一回り小さくなった重機がやってきたのです!

すぐさま歌丸に伝え窓際に連れて行くと目をギラギラさせ見つめていたのですが、それきりでした。

どうしたの?歌丸?重機だよ。重機が来たよ!

誰でもいい訳じゃないのよ。あの重機が好きなの!ねぇどこ行っちゃったのよぉぉぉ。

歌丸。人生は思い通りにならない事ばかりなのよ。

月並みなアドバイスしか出来ない私なのでした。それではまた来月!それはまた別のお話。

タオルにくるまれた歌丸

猛暑対策で冷えたタオルを巻く歌丸

著者について

永田花

永田花ながた・はな
文化学院建築科を卒業後、ステンドグラス作家の山本幸子氏(株式会社山本・堀アーキテクツ)の下で働きながら物つくりの基本を学ぶ。その後N設計室勤務。仕事をしながらクラブイベントの会場装飾・ポスターやフライヤーデザインを手がける。現在は写真を使ったオーダー雑貨のデザイン・制作を生業としている。
http://87utamaru.wix.com/tutti-cat

連載について

永田花さんの飼い猫歌丸くんの日常について綴るエッセイ。歌丸は猫っぽくない、と花さんから聞いて、それはどういうことだろう?ととても興味を持ちました。花さんと歌丸との出会いから、これまでのこと。ほっと一息つけるようなエピーソードにあふれています。