小池一三の週一回
第9回
びおソーラーのリーフを作成しました
その2
16のショートストーリー
これまで作成した、びおsolarリーフと異なる点は、中面いっぱい(A2・サイズ)を用いて、16のショートストーリーを配したことです。
パンフなどのページ物は、どうしても一つの項目にあれもこれも盛り込みたくなり、「だんご状態」になりがち。今回は、イラストと短文で一話を構成する形式とし、明快に言い切るものにしました。
16のショートストーリーは、3つのテーマに分けて構成しました。
第1テーマ
冒頭は、やはりこういうことか、という印象を持たれるかもしれません。でも、この花冠をごらんください。ひまわりは、やはり太陽そのものではありませんか。古代エジプトでは、ピラミッドの造営は、太陽が沈むナイル川の西側とされました。ナイル川の東側は、太陽が昇る側とされ、それは生者の領域と考えられました。それを自明なことにすることで、彼らは文明を築きました。びおsolarは、太陽あってのもので、ありきたりと言われても、堂々と前に出すことにしました。
ショートストーリー1
太陽を抱える人をイメージしたイラストは、おかべてつろう。ねこをモチーフにした、ポストカードで知られる作家です。
ショートストーリー2
「空気のおいしい家」を、どんなビジュアルで表現したらいいのか? 見つけ出したのが「愛鳥週間」の切手。しかし、切手は金券なので御法度。斜め線を一本入れればOKだとわかりました。
ショートストーリー3
「住まいマガジンびお」にて特集された[びお考] 赤ちゃんにやさしい家。「家を建てる理由ランキング」で、常に上位にあるのが「子どもができる(できた)」という理由です。それって、今の住まいが赤ちゃんにとって良くないってこと? 赤ちゃんが感じる快適とは何かを解いた特集。
ショートストーリー4
ショートストーリー5
たかだみつみさんの版画。芭蕉が詠んだ〈荒海や佐渡によこたふ天河〉という句をテーマに描かれました。雄大な姿が活写されていますが、芭蕉が出雲碕に立った日は大雨でした。芭蕉の心眼に映った大銀河なわけですが……。
ショートストーリー6
住まいの温熱環境というと、冬と夏ばかりが問題にされます。大事なことは、春や秋の「中間期」を延ばすことではないでしょうか。
ショートストーリー7
第2テーマ
びおsolarの普及を開始するとき、私たちは「より簡単に、より安く、よりピュアに」というスローガンを掲げました。パッシブソーラーは、本来、そうした考えを根底に持っているのだから、と考えてのことでした。
現代技術は高度化し、プラックポックス化し、人の手から離れて行っています。人が長年にわたり居住する住まいは、もっと人に近く、性能保持も、メンテナンスも、自分で手を出せて直せるものでありたいと考えます。
ショートストーリー8
ショートストーリー9
考案者の奥村昭雄は、入るを量りて出ずるを制す」ることだと言いました。集熱・蓄熱は「入り、出ずるを制す」るは、断熱・気密であると。
ショートストーリー10
人は日照を利用して快適な生活をおくる権利を有しており、法規上、北側斜線制限が設けられています。設計者と一緒に、詳しくチェックしましょう。
ショートストーリー11
専門家の要求に応えられるマニュアルなので、むずかしいページもありますが、ジロジロ眺めているだけでも愉しめます。
ショートストーリー12
自動車や電化製品の普及と共に「メンテナンスフリー」が言われるようになりました。短サイクルに消費される製品と異なり、住まいは一生もの。人が手を出せて、容易に直せるようにしました。
第3テーマ
びおsolarの住まい手の中には、この種の話を舌舐めずりするほど好きな人と、関心の低い人がいますが、機能や効能の背景にある、技術者の愉悦を知ると、なるほどそういうことか、と分かることがあります。
ショートストーリー13
ショートストーリー14
ショートストーリー15
ショートストーリー16