色彩のフィールドワーク:もてなす緑
第12回
オープンスペースを明るく彩る緑
––チョコレートショップの店先にて
昨日、スタッフの山田くんから「バレンタインのお返しです」と、チョコレートバーをいただきました。パッケージがとても素敵で、随分お洒落なお店を知っているなあ、と感心して尋ねてみると、会社の近くにあるチョコレート専門店とのこと。他のスタッフも皆そのお店を知っていて、併設されたLABOでのワークショップに参加した経験の持ち主がいることも判明し、皆なかなか情報通だなあ、とさらに感心してしまいました。
翌日の東京は日中の最高気温が22℃まで上昇し、上着を脱ぎたくなるような陽気でしたので、所用のついでにそのお店までちょっと脚を伸ばしてみました。サクラの開花が待たれる目黒川沿いを池尻方面へ歩いていくと、ひと際ボリュームのある緑が目に入ってきました。背景の壁面には落ち着きのあるブルーが使用されており、見慣れない(でも違和感があるわけではなく)外装色と緑とのコントラストが印象的な外観をつくり出しています。
店舗は周辺の建物に比べ、植栽帯やベンチなどがある分、1.2mくらい後退しています。前面の緑は水平方向の拡がりを感じさせると共に、店舗との間にもちょっとしたスペースがあることでさらに奥行き感が演出(強調)されていると感じました。壁面のブルーは緑よりもわずかに暗く、鮮やかさが抑えられているので手前の緑がより明るく・より手前に進出して見え、そうした配色がもたらす効果が空間の構成を引き立てています。
チョコレート(色)とブルーという組み合わせは、商品が持つイメージからするとダイレクトには結び付かない組み合わせですが、お店のHPを見てみると「日本から新たな素晴らしい発想やアイテムを発信していきたい」という想いから、パッケージに和紙を採用していることなどが紹介されており、原料や製法(全て手作業なのだそうです)へのこだわりやコンセプトが反映された外観なのだということが読み取れました。外装色は日本の藍(染め)と結びつくのかも知れません。
ちなみに色彩学的に解いてみると、チョコレート=ブラウンはYR(黄赤)系で、その補色はB(青)系になります。扱う商品が持つ色相(色み)と最も対極にある色相を外観に配することで、チョコレート(色)の印象を引き立たせようとしているのでは……。等と思いながら、お店を後にしました。お返しにいただいたチョコレート、この外観を思い出しながら週末ゆっくり味わってみます。
ウエルカム感 ★★★
ボリューム感 ★★★★★
全体のカラフル感 ★★★
※ごく個人的な判定ですが、この3つの指標に記録をして行きます。必ずしも★が多いことが良いという訳ではなく、シンプルでもカラフル度が高くて楽しいなど、演出のポイントや効果の発見に繋がると面白いなと考えています。