パリのリサイクルシステム

ところかわれば

森弘子

今年の年末年始はおとなしくパリで過ごすことにし、せっかく家にいるならば、と徹底的な大掃除をしました。ハイライトはウォークインクローゼット。息子が生まれてから物が増え、ありとあらゆるものがつめこまれていて使いにくくなってしまっていたのを一新。全部引っ張り出してリビングに並べ、徹底的に整理しました。

すると出てくる不用品の数々。特に多いのが服。息子のものも含めると大きな袋いっぱい分になりました。他にも壊れてしまった掃除機も後で処理しようとすみにおいてそのままでした。整理したあとは、不用品を処分する必要があります。

フランスには不用品をどう処理すれば良いのかの解決方法がまとめられているウェブサイトecosystem.ecoがあります。このサイトでは、エリア、処理したいものを入力すると、どこに持って行けば良いかを表示してくれます。ここで壊れた掃除機はどう処理すればいいのか・・・検索してみると、近所の市営のリサイクルセンターで、無料で引き取ってくれることがわかりました。また、このサイトではそれぞれの製品をリサイクルすると、酸性雨量やCO2排出の減少など地球環境にどれくらいの効果があるか調べることができるページもあります。

ecosystem.eco画面

ecosystem.ecoのサイト内で、右上の赤いバナーをクリックすると、一番上から 「処理方法(寄付、廃棄、買取など、すべてを選択も可能)」「エリア」「製品名(冷蔵庫、掃除機など)」を入力できる 検索すると下方に近い場所からいくつかの候補が表示される

このリサイクルセンター、すごいのが場所。なんとパリのど真ん中、ナポレオンが眠るHôtel des Invalides(アンヴァリッド廃兵院、1670年建設)の前にある広大なEsplanade des Invalides(アンヴァリッド広場)の地下の一角にありました。アンヴァリッド広場のセーヌ川河岸寄りは地下に警察署やメトロの駅、市営のジムなどが組み込まれています。広場の脇から車用のスロープに沿って地下に入ると、中程にリサイクルセンターの入り口が見えてきました。

リサイクルセンター

入り口から見たリサイクルセンター 中は広く、リサイクルセンターそのものだが、天井の架構や装飾された柱が独特の雰囲気を作っている 上部の広場は1704年に整備され、1720年には現リサイクルセンターの上まで広場が拡張されているが、地下がいつ建設されたかは市のウェブサイトなどを調べたが詳細不明・・・

いかにもパリらしい歴史的な建造物の一部を使った独特な雰囲気のリサイクルセンターで、中は清掃車など市の設備が並んでおり、その一角に持ち込み用のスペースがありました。持ち込めるものは家具、金属、ダンボール、テレビなどのスクリーン、大小の家電、バッテリー、服や布など。大きさは合計で1m3以下であれば持ち込み可能です。営業時間は9時半から19時まで、土日含め一年中空いていますが、元旦とメーデーとクリスマスだけおやすみ。事前アポイントもいらないので大変便利です。

リサイクル持ち込みスペース

持ち込み用のスペース 各製品によってブースが緩く分けられている 特に内容物を確認されることもなく守衛さんに挨拶をして退出し完了 写真左の柱はリサイクルセンターができた時に壁に吸収された様子

なお、この地下空間は2025年にコンバージョンされることが決定しており、建築家ドミニク・ペローによって18000m2がギャラリーや子ども美術館に生まれ変わる予定だそうです。家の近所にリサイクルセンターがあるのは便利でしたが、複合施設ができるのもとても楽しみです。

アンヴァリッド広場地下のプロジェクトについての記事 Vivre PARIS
https://vivreparis.fr/les-sous-sols-de-lesplanade-des-invalides-vont-se-transformer/