まちづくりで住宅を選ぶ
第1回
豊かな生活は、良い住宅+優れた街で実現する
どんなに素晴らしい家に住んでいたとしても、目の前に交通量が多い大通りがあったら嫌なものです。排気ガスや騒音の問題もありますが、何より子どもが事故に巻き込まれたら大変です。それでは、大通りでなければいいのでしょうか。問題はそう簡単ではありません。狭い道路でスピードを出した車が走っているほど危険なことはありません。出来れば自動車が入ってこないか、そこに住んでいる人だけしか入れないような道路だったりするといいかもしれません。あと、自転車の専用道路などがあっても便利です。
最近では自動車で移動することを前提として、都市がつくられている場合が多いですが、自動車で移動したくない時もあります。例えば、仕事仲間や学生時代の友人と飲み会に行くときなどは、家のそばに鉄道の駅やバス停があると有り難いです。しかも、10分間隔ぐらいで走ってくれていればなおさらです。
また、自分の家のそばにしっかりとしたコミュニティがあったりすると、日常にスパイスを与えてくれます。例えば、子どものためにハロウィーンのお祭りをやってくれる商店街や地元コミュニティのグループがあると、子ども達は楽しいでしょう。そして、地震などが起きた時、頼りになるのは地元の人達のネットワークです。
このような生活の価値は、住宅がどんなに理想的であっても提供されません。それは、住宅が建っている周辺の街が提供してくれるものなのです。したがって、豊かな生活を実現させたければ、住宅だけでなく街にも目を向けなくてはいけないのです。それにも関わらず、多くの人は住宅のスペックばかりに注目して、その周囲の環境である街には目を向けません。しかし、それでは豊かな生活を送ることはなかなか難しいと思います。
このエッセイは、あなたが豊かな生活を送るための優れた街を見極めるうえでのガイドブックとして使えるような内容のものにしたいと考えています。それによって、住まいを選ぶ際に、住宅だけではなく街を選ぶうえでのヒントにしてくれればと考えています。