住まいのグラフィティ
Vol.54 北小金のいえ
S設計室
生活の軸と地球の軸
緩やかな北側斜面の最下端に位置する40坪余りの敷地は、北の道路面より1.5mほど高く、その先には生産緑地が広がっています。老夫婦の終の住処として「庭のある平屋」を建てるのには少し物足りない広さでしたが、庭/テラス/ポーチを敷地四隅に分散配置することで対角の軸を導入、視線・動線を敷地内で最大限に伸長させて北西へと開き、これを生活の軸としました。また、北向きの1階リビングでは得難いダイレクトゲインを補うため、屋根面で温めた空気を基礎蓄熱経由で床暖房とする温熱環境計画を採用し、屋根面が集熱に最適化されるよう地球の軸に沿わせました。捻れた2つの軸が矯正されることなく共存することで、生き生きとした住宅の原型が形成されています。
白石 圭
白石 圭しらいし・けい1977年千葉県生まれ。2002年東京藝術大学美術学部建築科卒業。2008年Cranbrook Academy of Art Dept.of Architecture(M.Arch) 修了。2009年〜2011年N設計室勤務。2011年S設計室開設。2020年東京建築士会住宅建築賞受賞(北小金のいえ)。
中島 壮なかしま・たけし1969年福岡県生まれ。1997年東京藝術大学美術学部建築科卒業。1999年〜2010年坂牛卓一級建築士事務所。2007年日本建築学会作品選奨(リーテム東京工場)。2011年中島壮設計開設。2020年東京建築士会住宅建築賞(北小金のいえ)。主な著作に「Architecture as Frameand Reframe」(2016年、共著)など。現在、東京理科大学非常勤講師。
橋本圭央はしもと・たまお1976年高知県生まれ。2001年東京藝術大学美術学部建築科卒業。2008年AAスクール Diploma Program 修了。2013年Cosmopolitan/Workshop設立。2013年SDレビュー入選(「Seedling Garden」)。2020年東京建築士会住宅建築賞受賞(北小金のいえ)。主な論文に「The Polyrhythmic-scape of the City」(2018年、Materia Arquitectura Journal)など。現在、日本福祉大学助教/東京藝術大学、法政大学、千葉大学非常勤講師。