森里海から「あののぉ」

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BEE HOUSE(蜂の家)

ミツバチ

写真/photoAC みちばち タイトル:花と日本ミツバチ


「もしハチが地球上からいなくなると、人間は4年以上は生きられない。ハチがいなくなると、受粉ができなくなり、そして植物がいなくなり、そして人間がいなくなる」

アインシュタインの言葉だそうです。世界の食料の9割を占める100種類の作物種のうち、7割はハチが受粉を媒介していると言われています。ハチは人や地球にとって欠かすことの出来ない生物なのです。しかし、ミツバチの数は減少傾向が止まらず、蜂蜜のみならず、農作物の生産にも深刻な影響を与えているのが現状です。

ミツバチのように花粉や花蜜を集めるハナバチ類は、知られている限りでも世界に約2万種、日本には約390種あるそうです。ハナバチ類は、野生植物や農作物の大変重要な花粉媒介者であり、生態系の維持や食料生産という観点からも、なくてはならない存在です。

ハナバチのなかでも、ミツバチのように大きな巣をつくり集団で社会生活を営むのではなく、単独でひっそりと生活する管住性(かんじゅうせい)ハチ類あるいは借孔性(しゃっこうせい)ハチ類と呼ばれるハチ類が多くいます。これらのハチ類は刺すための針は持っていますが、攻撃性や毒性は極めて穏やかで積極的に捕まえようとでもしない限りまず刺される心配はありません。
 
この管住性ハチ類は、竹やアシのような中空の筒や、カミキリムシ等の甲虫類によって材に開けられた脱出坑などの空間に巣を造ります。親バチは巣の中に餌を蓄えて産卵し、孵化した幼虫はその餌を食べて育ちます。

竹筒に巣を作ったドロバチ写真/photoAC 南斗遊星 タイトル:巣作り中のドロバチ

このような様々な種類の管住性ハチ類も、竹やアシのような営巣場所環境が激減していることで、繁殖がままならず絶滅の危機に瀕している種類も数多くあります。ハチが減少すると、ハチにより受粉をしていた植物が減少し生物多様性が貧困になります。また野菜や果樹などの農作物にも大きな打撃を与えます。

管住性ハチ類に営巣場所を提供しようというのがBEE HOUSEの取り組みです。このBEE HOUSEを数多く設置することで、ハチの個体群の維持や増加に貢献していこうというものです。

今回、NPO法人みんなでつくる自然史博物館・香川が取り組む「蜂の家プロジェクト」で蜂の家づくりに協力させていただきました。

BEEHOUSE蜂の家・蜂のアパート説明文蜂の家・蜂のアパート企画書

弊社の大工チームで「蜂の家」と「蜂のアパート」を数多く製作し、ことなみ未来館(旧琴南中学校)琴弾公園父毋ヶ浜、丸亀M社の敷地内など各所に設置させていただいております。

アンティークな牽引車に蜂のアパートを設置

父毋ヶ浜近くのS社に設置した蜂のアパート


新品の蜂のアパート

入居者募集中です。


「人と自然との共生の可能性」と、「生物多様性保護のために企業が出来ること」について、これからも本気で考えていく必要があると思っています。
(※文中の多くをWEBページなど参考文献より引用)


※ 本連載は、菅組が発行する季刊誌『あののぉ』で著者が連載している内容を転載しています。

著者について

菅徹夫

菅徹夫すが・てつお
1961年香川県仁尾町生まれ。神戸大学工学部建築学科を卒業後、同大学院修士課程にて西洋建築史専攻(向井正也研究室)。5年間、東京の中堅ゼネコン設計部で勤務したのち1990年に香川にUターン。現在は株式会社菅組 代表取締役社長。仕事の傍ら「ベーハ小屋研究会」を立ち上げるなど、地域資源の発掘などのユニークな活動も行う。
一級建築士、ビオトープ管理士