おひさまと二十四節気

祖父江ヒロコさんの絵にあわせて、二十四節気毎にコラムをお届けします。1年間、どうぞよしなに。

Vol.1  立春・メジロがやってくる

立春・メジロ

画・祖父江ヒロコ

祖父江ヒロコさんの絵にあわせて、二十四節気毎にコラムを担当することになりました。
「びお」を運営する町の工務店ネットでは、毎年、二十四節気カレンダーを制作しています。立春からはじまり、二十四節気ごとのビジュアルやギミックを楽しむカレンダーです。
今、世の中で普通に使われている暦だと、1月1日から1年が始まります。これは、天体の動きとは直接関係していない、人間が別の目的を持って定めた暦です。社会生活を営む上では、現在の暦を使わないわけにはいきません。
我らが「びおカレンダー」は、二十四に分かれた節気ごとの作りです。来週の何曜日に打ち合わせ、みたいなことを管理するのには全然向きません。けれど、今はどんな季節なのかを、12ヶ月のカレンダーよりも微細に気づかせてくれるはずです。
その、季節の移ろいの由来は、ほとんど全てが太陽、おひさまだ、と言ってもいいでしょう。
二十四節気ごとの祖父江さんのビジュアルと、その季節をちょっと楽しめるようになるような、そんな連載を目指しています。
一年間、どうぞよしなに。

二十四節気は立春が一年の始まりです。でも、なぜなんでしょうね? 最近話題のAI、ChatGPTに、なぜ立春が一年の始まりなのか聞いてみました。

「立春は、一年の起点とされる理由は、古代中国において、春季の気候の変化を観察し、そこから農耕業の始まりと季節の変わり目を決めたためです。また、太陽暦を用いた歴史において、立春は太陽が黄経30°に達したことを示し、一年の起点とされました。」

もっともらしい言葉が返ってきて、最近のAIってほんとスゲエ〜と一瞬思ったけれど、よく読むと全然答えになっていませんね。そもそも、立春の太陽の黄経は30°ではなく、315°です。
黄経というのは、地球を中心とした時の天体の座標を、春分のときを原点(0°)としたものです。

春分が0°なのに、そこを春のスタートとしなかったのは、どうしてなんでしょうね。
陰陽五行説で位置づけられている春夏秋冬は、まさにその字の順番の通り、春が最初の季節で、冬が最後の季節です。青春、というのが人生の最初のシーズンで、以降、朱夏、白秋、玄冬と続きます。
二十四節気は農業用の暦だと言われています。農作物の多くは春先に種を蒔くものが多いですから、春を一年の最初にするのがやはり相応しい。陰陽五行説と二十四節気はどっちが先に成立したのか定かでないようですが、だいたい同じ頃なんじゃないかなと想像しています。
そんなわけで、春が最初の季節。とはいえ、春分の頃では春蒔きの準備にはちょっと遅いから、立春の頃から始めましょうよ、ってことだったんじゃないかなあ、と想像しています。
立春は、春分と冬至の中間。おひさまはだんだん長く顔を出してくれるようになってきて、さあこれから一年の農作業の始まりだ、という機運にはちょうど良かったんじゃないかな。

我が家は2階リビングで、障子を開けると庭木の枝が目に入ります。春先に目立つのは、小さいけれどちょこまかと動き回るメジロです。これがほんと、可愛い。窓からは、おひさまの暖かさもたくさん入ってくるし、樹々とメジロなど、目に佳い風景も入ってくるし。
窓からは、寒い時期には熱は逃げるし、暑くなれば熱が入ってくるしで、壁に比べると断熱性能は低いし値段は高いから、窓は極力小さくする方がコストパフォーマンスがいい、という話もよく聞きます。
でも、窓からはいいものもたくさん入ってくるからね。例えメジロが外にいなくても、外からいかに佳いものを呼び込めるかが、窓の使い方。ここ重要!