おひさまと二十四節気

Vol.6  穀雨・元気なチューリップ

チューリップの自由な感じ、
見ていると楽しい気持ちになります。
(画・祖父江ヒロコ)

祖父江さんから、チューリップを生けた後も伸びていく、という作品が届きました。
チューリップって、球根で育てたことはあるけれど、生花でもそうなんだ。

花ではありませんが、自宅でたくさん買った大葉を、コップに水を入れて放り込んでおいたところ、やっぱり根が出ているではないですか。

買ってきたネギやらミツバやらの根本を水につけておくと伸びてきます。まあ、あれは根っこだからな、なんて思っていましたが、葉っぱからもこんなことが起こるだなんて。

植物って、動物とは全く違うメカニズムで生きているんだなあ、すごいなあ、と素直に思いました。

二十四節気の「穀雨」は、穀物を育てる雨、とされています。
穀物に限らず、この頃は、雨が降るたびに、新芽が出て、若葉が育ち、生命の息吹が感じられますね。

チューリップの中には、不思議な模様が入ったものがあります。
ウイルスによって引き起こされる症状らしいのですが、珍しいものは、かつてヨーロッパで信じられないほどの高値で取引されていたそうです。

17世紀にはオランダで投機の対象となっていました。貴重な品種だけでなく、普通のチューリップまでもが、なぜか高値で取引される、という状態です。

当時のオランダでの熟練職人の年収が300ギルダー程、それに対してチューリップの球根が3,000ギルダー以上で取引されたといいますから、そのバブルの過熱っぷりがわかろうというものです。

なぜ値段が上がったのかわからないチューリップは、結局、なぜか分かりませんが暴落しました。まるで買い手がつかない、という状態になったのです。

残念ながら「チューリップの価値そのもの」ではなく「チューリップに価値があるよう思えること」が取引されていた、ということなんですね。

モノの値段は需要と供給のバランスで決まります。とはいえ、チューリップにどうして年収の10倍もの価格がつくほどの需要が生まれたのかは理解できません。

近年で、需要と供給のバランスの変化で価格が大きく変化したといえば、住宅業界では「ウッドショック」が記憶に新しいところです。

コロナ禍でのロックダウンによる流通不足とアメリカの住宅需要の回復などが主要な原因とされています。輸入材の量が減ったことで価格が上がり、国産材もそれにつられて値が上がりました。それでも、入ってこない輸入材よりは、と国産材に切り替える、というところも出てきました。
でも、そういうところは、また輸入材が安く手に入るようになれば、そちらに流れるだろうから、今頃はまた輸入材に戻りつつあるんじゃないのかなあ。

ロシアによるウクライナ侵攻、円安、エネルギー高といった影響で、多くの建築材料の値段が上がっています。これは需要と供給というよりも、原価が上がってしまったので値上げせざるをえない、というものから、便乗値上げまで、色々あるでしょうけれど、とにかく、家はコロナ前よりずいぶん高いものになってしまいました。

エネルギー価格も高騰しています。建てるのも高い、暮らすのも高い、ではたまったものではありません。

住まいには、きちんと断熱を施して、夏はお日様の日差しを遮ること、冬はお日様の日差しを目一杯取り入れることで、冷房・暖房のランニングコストが驚くほど変わります。

エアコンは確かに効率のいい機械だけれど、電気代がどんどん上がり続けてしまったらどうでしょう?

まずは自然室温で暮らせる家を作り、どうしても暑い、寒いという時にはエアコンに頼ることもある、そんな家づくりが求められていると感じています。