おひさまと二十四節気
Vol.15 白露・ぶどう
今日から二十四節気の「白露」
草木に朝露がおりはじめるころ、とされています。
まだまだ暑い日もありますが、確かに朝晩は涼しくなってきたことを実感します。
ぶどうは、7月ごろから出回りますが、本格的に増えてくるのはこれからですね。
ぶどう栽培には、気温の寒暖差と十分な日射量が必要と言われています。
日本でぶどうの生産量が多いのは、山梨、長野。この両県で、全国の4割を生産しています。
どちらも、朝晩の寒暖差があり、日射量が多い地域ですね。
山に囲まれた盆地は、日中、太陽熱で地面が暖められ、その上昇気流は山に沿って登っていきますが、ぐるりと回って、また盆地へ降りてきます。暖気が逃げていかないので、気温が上がりやすいんですね。
一方で、夜には地面が冷やされ、斜面からも冷えた空気が降りてきて、平地より気温が下がりやすくなります。
この寒暖差が、ぶどうにとってはいいんでしょうね。
人にとっても、一日中暑い! というよりは、夜は少し涼しい、という方が過ごしやすいものですが、それでも朝晩の温度差が10℃以上もあると、体調を崩したり、という人も増えてきます。
盆地の寒暖差のメカニズムは、夏に限ったものではありません。冬も、昼間は太陽の恵みがそこそこあるけれど、夜には冷えた空気が溜まってしまう。夜は寒いわけです。
だったら、昼間の太陽を溜めて、うまく使えばいい。
というのが、手の物語の「びおソーラー」です。
日中の太陽で暖められた空気を、室内にたくさん取り入れて、床下のコンクリートをあたためます。
コンクリートに熱を溜めておくわけです。
昼間に暖められた熱が、夜に少しずつ放熱されてくる。なんともいえない心地よさです。
秋や春といった、心地よい季節・中間期が、年々短くなっているように感じます。
びおソーラーは、中間期を長くする、というような役割も持っています。
夏の暑さが残っているうちは、夜間の外気取り入れを。
少し涼しくなってきたら、昼間の熱をコンクリートに溜めていきましょう。
さて、立春より、この連載のテキストは佐塚昌則が担当してきましたが、私の担当は今回までとなります。
これまで読んでくださった皆様とイラストを描いてくださった祖父江ヒロコさんに、深く感謝いたします。
引き続き、当連載「おひさまと二十四節気」並びに「住まいマガジンびお」、そして「びおソーラー」を、何卒よろしくお願いいたします。