イベント情報
味岡伸太郎展 
インスピレーション「四ツ池より」

びお編集部

「暮らしの時代 美術・デザイン・建築 –– 味岡伸太郎の仕事」(全4回)の記事でご紹介した、領域を横断的に活躍するアーティスト・味岡伸太郎さんのイベント情報です。
味岡伸太郎展インスピレーション四ツ池より

味岡伸太郎展
インスピレーション「四ツ池より」

<開催に寄せて>

土の包容力

土との関係が深まってもう30年が過ぎた。その始まりは、1990年の暑い夏だった。富士の一合目の牧草地に側溝を掘り、堀り出した土をふるいにかけ、そのサイズごとに山にした。

 その後、何回かのインスタレーションを経て、地層の下から上に、同幅に土を採取し、それを、採取したとほぼ同じ幅でキャンバスにストライプ状にドローイングする仕事が始まった。

 2016年のあいちトリエンナーレでは、愛知県と静岡、長野、岐阜、三重県境の70か所の峠から土を採取した。全行程は通算で1000キロに及んだ。その土をドローイングした「峠へ」は、愛知県美術館の一室を愛知県、壁面を県境に見立てた、70枚のドローイングによるインスタレーションだった。

 その翌年には、「富士山麓20景」のため、再び、富士山に向かった。富士を一周し、20か所で土を採取した。

 土は、そのままではありふれた物質に過ぎないが、豊な色彩を持ち、水と接着剤を加えれば、ペインティングやドローイングも可能である。さらに水を加えれば、泥染めにも使える。適度に水を加えれば成形でき、それに熱を加えれば、テラコッタや陶器にもなる。

土との関係が30年以上続けられた理由は、おそらくこのような土が持つ包容力なのだ。

 あいちトリエンナーレでは、本展とは別に「モバイルトリエンナーレ」が愛知県の四ヶ所で開催された。私はそれにも選抜され、開催地の設楽町、大府市、一宮市、安城市で土を採取した。そして、浜松 Hirano Art Gallery での個展のために、今年の1月、浜松市内四ツ池で土を採取。それに豊橋市、三ヶ日町での採取を加え、愛知県一宮市から浜松市まで、7か所、それぞれ16段の土によるドローイングを今回の個展では展示する。

 ギャラリーには、土染めの木綿と四ツ池で伐採した枝による茶室も設営する。茶室の床には、俳人の種田山頭火が80年ほど前に浜松に残した70ほどの句に四ツ池の土を添えた掛け軸を掛ける。

 透過するイエローオーカーの光の中、四ツ池で採取した土による真に粗野な茶碗で一服をと考えている。

 Hirano Art Gallery での展示は、浜松・四ツ池から得た、インスピレーションによるインスタレーションである。

<開催概要>
味岡伸太郎展 インスピレーション「四ツ池より」

◎茶会「四ツ池インスピレーション」

4月4日(土) 15:00~16:00 1回4席(各30分、計2回)
4月11日(土) 13:00~15:00 1回4席(各30分、計4回)
要予約。応募者多数の場合は先着


◎オープニングトーク

村田眞宏(豊田市美術館館長)×味岡伸太郎
4月4日(土) 16:00~17:10 
参加希望の方は事前にお問い合わせください


◎オープニングパーティー

4月4日(土) 17:10~18:10 
予約不要、無料

※新型コロナウィルスの感染防止のため予定を変更する場合があります。