寒露
-
かんろ
露は凍ると霜になるけれど、まだ霜にならない寒さ。このごろからだんだん冷えてやや寒、心が落ち着かないうそ寒、皮膚で感じる肌寒、冷気を感じる冷まじ、わけもなく気持ちが早まるそぞろ寒、骨身にまで来る身に入む、露が霜になりそうな露寒と度を増します。寒くなる様を表現する季語が暖かくなる季語より多いのは、人の皮膚の冷たさを感じる感覚点が、暑さを感じる感覚点より表皮に近く、冷感に気づきやすいからでしょうか。
- 冷まじや北へ犇めく夜のレール
- 坊城俊樹
鴻雁来
-
こうがんきたる
北から冬鳥が渡ってくる季節。秋の空を色々な鳥が渡ります。雁が長い距離を渡れるのはV字の編隊で飛ぶから。先頭の雁が作った気流を後ろの雁が利用し、先頭は持ち回りして全体的にエネルギーを余り使わず長く飛べます。それでも初飛行の若い雁は三分の一が力尽きて死ぬそうです。雁が来るころ乾燥肌などによる湿疹性の皮膚炎ができやすくなり雁瘡と呼ばれていました。自分の体の変化からも気候の変化を察知することができます。
- ともしびのひとつは我が家雁渡る
- 桂信子